春の道南遠征…片道600kmのドライブ


地球岬(2007.05.04 室蘭市

 Fieldは毎年数回、函館方面に出かける。北海道には120種程の蝶が生息しているのだが、そのうちの10種程度が道南にのみ生息しているという事情があるからだ。しかし、Fieldの住む街から道南までは、500km以上の距離がある。高速を使えばもっと早くたどり着くことが出来るのだろうが、普段は一般 道を走る。だからスケジュールを立てる時には最低8時間は覚悟する。
 実は、Fieldは高速道路が嫌いだ。それにはいくつかの理由があるのだが、とにかく勝手気ままにしたい人間なのだ。時には某国家公務員に知れるとヤバイくらい飛ばすかと思えば、景色が良いと、後続の迷惑も顧みずトロトロ運転をする。ナビの指示がどうあろうと、何となく曲がりたくなったら曲がって寄り道をする。その土地のスーパーが好きで、時々覗く。見たこともない食材を見つけたら、すぐに買い求め、公園の隅っこでも、河原でも車を停め炭火を熾して調理を始める。道の駅それぞれで売っているソフトクリームも好きで、食べ比べて楽しんでいる。そんな訳で、景色もそこそこにハンドルにしがみつかなければならない高速道路は敬遠している。…等と御託を並べ、北海道のバカ高い高速料金をケチっている言い訳が完成する次第である。
 ところが、たっぷり時間があればそれで良いのだが、ただ移動のためだけに、日中の8時間を取られるのは、ちょいと辛い物がある。結果 Fieldはよく夜中に移動する。夜中だと寄り道や景色の楽しみは無くなるが、道が空いていて思い通 りに走れるし、日の出ている時間帯を有効に利用して遊べる。これをFieldは“夜逃げ”と称している。仕事から逃れ、世間の憂さから逃れて自由な時間を過ごす…という意味も多少は有ったりするかも知れない。

 

 

キクザキイチゲ(2007.05.04 室蘭市

 函館方面に夜逃げする時、いつも気になる場所がある。それは室蘭市であるが、ここを通 過するのはいつも真夜中の事が多い。昨年、5月3日も真夜中にここを通過し写 真を撮っているのだが、ここの夜景(参照)を見ていると、何だかいつもゾクゾクして、ここまで250km走行して疲れた頭を覚醒させてくれる。その室蘭市を通 過するときに、いつも気になっていることがもう一つ有った。それは“地球岬”という案内標識に書かれた地名だ。いつぞやも夜中に“地球岬”ってどんな所だろうと寄り道してみたが、曲がりくねった坂道を上り、駐車場に着くと、おみやげ物屋らしきものが有っただけで、海も何も見えず、真夜中なもので、辺りの様子も分からず、何だこりゃ?と思っただけで引き揚げた事があった。
 その後、その地球岬に紫色のキクザキイチゲが咲くと聞いて、今度道南に行く時には必ず立ち寄ろうと決めていた。そしてついでにそこから日の出が撮影できない物かと計画を立ててみたが、天気予報では5月3日午前中曇り、4日は朝から晴れとなっている。3日、とても良いお天気で、もったいないなぁと思いながらも、自宅待機をして夕刻スタートした。5時間のドライブで白鳥大橋という、何だか格好の良い橋のたもとの道の駅“みたら室蘭”に到着したが、車がギュー詰めで落ち着けそうにない。ならば、直接地球岬に行ってしまえと、更に車を走らせた。地球岬の駐車場はスカスカ、しかも物静かで良い感じ!なーんだ、最初っからこっちに来るんだったなぁ。
 日の出は4:30くらいだろうからと、4時丁度にアラームをセットしたが、昨夜寝付けずに飲んだ泡盛が効いて起き上がれない。ちらりと外を見たらガスがかかっていたので、どうせ良い写 真は撮れないだろうと決めつけ、再度夢の中。結局起きたのは7時だった。駐車場から石段を上ると公衆トイレ、その裏手を更に登ると展望台になっていて、ようやく海と燈台が見えた。道理で夜中に来たときにどこが岬だったのかワカランかった訳だ。

 

オオバキスミレ(2007.05.04 室蘭市

 石段を上る途中で脇の草むらに白いキクザキイチゲを見つけたが、肝心の紫色のはどこだろうと周辺を散策。公園内は芝が綺麗に刈られ、野草の咲く余地は無さそうだからと、周辺部の傾斜地を探してみて、ようやく3輪発見できた。思いの外紫の色は濃くはなかったが、この程度の濃さの方が清楚さが失われずに、良い感じかも知れない。
 傾斜を登り、公園内に戻ろうとしたときに足元に黄色い花を見つけた。降りるときには全く気付かなかったのか、ミツバツチグリか何かと勘違いし気にも止めなかったのか、とにかく、えっ!こんな所に…と思いながら撮影したのだが、相変わらずスミレは良く分かってなくて、後で図鑑と睨めっこして、オオバキスミレと判断したのだが、どんなもんでしょう?

 

かにめし(2007.05.04 長万部

 さて、すっかり予定より遅くなってしまいましたが、とにかく腹ごしらえだ。昨夜出掛けに食パンが残っていたので、マーガリンを塗ってクーラーバックに入れて持ってきている。コーヒーを入れて、パンにはスライス・パックのロース・ハムを載せ、車の外でスタンディングで食べた。
 ようやく室蘭を出発し更に道南を目指したが、途中もう一ヶ所気になっている場所があった。長万部は“おしゃまんべ”と読む。昔々、由利徹というコメディアンが、ネタにこの地名を使っていたので、ご存知の中高年の方もいらっしゃるかも知れない。Fieldにとっては学生時代、国鉄で移動の際に、ここでかにめしの駅弁を買うのが楽しみだったので、未だについつい立ち寄ってしまう。
 昨年ここを通過したときには早朝だったもので、買うことが出来なかったのだが…果 たして…。JR駅に寄ったら“かにめし弁当あります”の表示。“一つ下さい”と言ったら“切れてますので、向かいのかなやさんで買って下さい”との返事。駅弁はやはり駅で買いたかったが、まー仕方ないか。1050円。何か少し値上がりしたような気がするが、これまた、まー仕方ないかぁ。時刻は11時を回っていたし、走行中食べることにもならないだろうから、駅の駐車場の車の中で食べた。これぞ早弁か?しかし、そろそろ真面 目に走らないと、今日中に辿り付かないゾ!!
(つづく)

 

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