メスグロヒョウモン(2006.9.17 中札内村

 2004年9月、十勝管内でアサギマダラの写真を撮ることが出来た。(詳細はこちら)あの夢よもう一度と言ってみたところで、無理なのは承知している。だが可能性ゼロではないのだから、まあ期待はせずに出かけてみようかという気になった。
 この時期の十勝の平年の最高気温はだいたい20度くらい。今日もおよそ、そのくらいで特に暑くもなく、寒くもなくといったところ。それにしても蝶が少ない。だいたいにして主要な吸蜜植物が、もうほとんど枯れている。それでも咲き残った花さえ有ればアブ・ハチ・ハエなどの訪花昆虫に混じって数種の蝶を見かけることが出来た。
 そんな中でもひと際目に付くのがメスグロヒョウモンだ。この蝶の雌はかなり遅い秋まで見ることがある。但し翅はご覧の通 り。ミドリヒョウモン・ウラギンヒョウモンなどもいたが、逆にここまでボロボロのは、なかなかいない。メスグロヒョウモンの雌はただ飛び古しただけではなく、こうして翅を大きく欠損した個体が多い気がする。今、Fieldは“ひと際目に付く”と書いたが、おそらく蝶の外敵の鳥の目にもこの蝶は目立っていて、狙われやすいのかも知れない。更に考えれば、目立つ翅を鳥に狙わせておくことで、身体を守っている…なんてこともあるかも知れない。だとすれば、誠にしたたかな蝶だと言わざるを得ないのだが、果 たして真相はいかがなものだろうか?

 

ベニシジミ(2006.9.17 帯広市

 中札内の幾度かアサギマダラを見たポイントには、工事のため近寄ることが出来なかった。仕方なく帯広市の岩内方面 へ移動してみたが、ここも似たような状況だった。ただベニシジミがやたらと目に付いた。
 ベニシジミは真夏に、前翅のオレンジ部分がほとんど黒化したタイプを見かけるが、ここでは全て通 常の模様だった。通常型・黒化型・通常型の年3化と云う事なんだろうと思う。

 

ミヤマカラスシジミ(2006.9.17 帯広市

 林道を更に奥まで詰めてみたが、目ぼしいものはなかなか見つからない。このポイントでは夏にミヤマカラスアゲハが集団で吸水する場所がある。そこを覗いたら、ミヤマカラスが飛んでいた。どうせこれもボロボロだろうと思いながら見ていたら、止まったその蝶は思いの外綺麗で翅の傷みはほとんど無かった。たまたま発生が遅れた個体だったのだろうか。
 あまり成果もないまま、昼過ぎに帰宅した。ところが夜になってMさんから連絡が入った。今日私が行った場所とは少し離れてはいるが、アサギマダラ発見の報であった。彼の強運にはとにかく脱帽するしかないが、今回は残念ながら撮影には至ってないとのこと。それにしても、かつて十勝に於けるアサギマダラの目撃例は、10年に一度と思っていたが、近年になってその頻度は飛躍的に高くなっているような気がする。今度ともその同行に注目したい種である。

 

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