アカマダラ2004.09.04 中札内村

 先週乙部町でキタテハを探しているときに、帯広市在住のYさんから、アサギマダラ発見の報が入った。発見場所は音更町だった。そして、9月1日Mさんから中札内でアサギマダラ発見の報が入った。しかも複数匹居るらしい。
 私としては、6月に見たアサギマダラの子孫が発生しているのではないかとの期待から、中札内を徹底的に調査しようと早朝からうろついてみた。ミドリヒョウモン、ウラギンヒョウモン、メスグロヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンなど各種ヒョウモン類、そしてクジャク・エル・シー・アカ・ヒメアカ等のタテハ類が、この時期にしては驚くほど多く乱舞していた。

 それにしても林道で目に付いたのはアカマダラの多さだった。ボロボロの2化に混じって新鮮な3化が発生していた。もともと産地によっては3化が発生することも珍しくはない蝶なのであるが、こんなに多くの3化が発生しているのは過去に記憶がない気がする。

 

アサギマダラ2004.09.04 中札内村

 林道を上流に向かうと、上流から林道に入っていたNさんと出会った。Nさんは11時までに行かなければならない所があるそうで、ならば、アサギマダラの可能性の一番高いポイントを重点的に探そうと、私が車をUターンさせて、2台で林道を徐行運転。時折車を停めて、可能性のありそうな場所を歩くが、なかなかアサギマダラは発見できない。時間がだんだん少なくなってきたので、私が6月にアサギマダラを発見した場所へと、やや車のスピードを上げた。そのポイントまであと数十メートルという所で、Nさんの車のクラクションが鳴った。
 当然これはアサギマダラ発見の合図だろうと察し、車をバックのまま走らせて、Nさんの所まで下がった。既に車から降りていたNさんの目線の先にはオオイタドリに止まるアサギマダラ!!Nさんが指さすまでもなく、私の目に飛び込んだ。

 その個体は、全くの無傷で美しい翅を広げていた。丁度一週間前に強い風の台風16号が通 過したのだが、その風に乗ってこの十勝にやって来たのか。それとも6月に見たアサギマダラの子孫なのか、確認する術もないのではあるが、この無傷な姿はやはり、この十勝で生まれ育った、道産子のアサギマダラだと信じたい。

 

シロオビヒメヒカゲ2004.09.04 中札内村

 少しの間、イタドリで吸蜜していたアサギマダラは、最後ヒョウモンチョウに追尾され上空を滑空しながら林の奥へと去っていった。その時に十勝の青空に透けた浅葱色の美しかったこと。いつまでも心に残るシーンだった。2人とも大満足で、とりあえず時間のないNさんを林道の出口まで送って行った。
 ところが、その時オマケがあった。いや、オマケというにはあまりに驚く出来事であったのだが、ナント!!シロオビヒメヒカゲの2化を確認したのである。6月に生まれた個体が9月まで生き延びていた。な〜んてことは有り得ない。ご覧の通 りこれまた新鮮な個体であった。アサギマダラといい、シロオビヒメヒカゲといい、暑い暑い夏がもたらした、奇跡のような出来事に、胸の熱くなるような一日だった。

 

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