オオマツヨイグサ(2003.08.2 八雲町)

 私の趣味としてのアウトドアは、基本的には単独行動が多かった。たとえ蝶の好きな人と行動しても、私がカメラで相棒がネットならやはり互いに遠慮が生じてしまう。釣りは競い合えるという楽しみもあるから複数で出掛けることもしばしばあったが、一番の相棒を亡くしてしまってからは単独行動ばかりだ。もっとも釣りも、私の場合ルアーで渓流がメインなので、仲の良い人で餌釣りの人が居ても、じゃあご一緒にとはならないのである。
 ところが、昨年から時々私と行動を共にしているS氏という人物が居る。彼は蝶の撮影がメインで、他の昆虫や気が向くと草花も撮る。魚釣りもホンの少しだけやる…ということで、趣味が私と極めて近いので気楽なのである。そのS氏は函館市出身で現在帯広市在住なのだが、その彼が今帰省中なのだ。
 実は、私の蝶のページの北海道の蝶は、撮影が済んでない種類が残すところあと10数種となった。そのうち十勝の蝶は4〜5種類で、残りは道南にしか記録のないものばかりとなっている。従って、これはチャンス!彼が函館にいる間に私も道南を訪ねて、道南固有種の写 真を1点でも増やそうと思ったのだ。
 道南と言えば、私には苦い思い出がある。一昨年、海の日の休みを利用して放浪した時に、大量 の植物写真を撮ったデジカメのメモリカードを紛失したのである。今回は、あの時の記憶をもとに植物写 真も…と気合いが入っていた。とりあえず八雲の海岸で撮ったオオマツヨイグサを撮り(取り)戻す。

 

大きなカタツムリ(2003.08.02 乙部町)

 S氏とは八雲町落部で合流予定であった。1時間以上早く着いたので、車中で仮眠することにした。上の写 真でもお分かりのように、霧雨が降っていた。しかしここは八雲町である。一週間のうち8日間曇ってる所なのだと、地元の方が仰っていた。実際私も何度かここに来ているが、10中8、9曇っている。しかし、ちょっと内陸に入れば晴れていることが多く、天気予報も何処にも傘のマークは無かった。念のためS氏に電話したが、函館も曇っているだけで、雨は降ってないという。安心して眠りについたのだが…
 バタバタとフロントウィンドウにたたきつける雨音で、睡眠が妨げられた。え?何で?外は霧雨から本格的な降りに変わっていた。往復1,000kmを超えるドライブで、雨に降られては困るからと、TV・新聞・ネットと様々な天気予報を見て確信してやって来たのに、そんなぁ…。と、半分途方に暮れているところにS氏が現れた。“天気予報は曇り、気温はそこそこ上がる。午後からのスポット予報では晴れの場所も…”など言い残して、ティッシュを箱ごと掴んで公衆トイレに行ってしまった。
 自信有りげな、S氏の後ろ姿を見て、少し安心した。じゃ取りあえずキタテハとヒメジャノメでも…と乙部町に向かったが、そこでもやはり雨、大きなカタツムリがあちこちで元気に這っていた。もちろん目指す蝶は飛んでいなかった。オイオイどうなるんだ、これから…

 

雨に似合う花(2003.08.02 茂辺地)

 とにかく、今回のメインはオオゴマシジミであった。それと思われるポイントを次々と訪れたのだが、ことごとく雨。スポット予報で午後から晴れるはずのこの場所も、やはり雨…でも、お情けで止んではきましたが、もう午後の3時を回っていて、気温上昇とはならない。
 うろついた山の中で目を惹いたのが、ガクアジサイ。道東でも見ることはあるが、ここ道南ではあちこちに沢山咲いていた。

 

往復1000km走って撮った蝶(2003.08.02 乙部町)

 今回、道南へ遠征ということで、アイツどんな蝶をと、多少期待をされていた方がいたり、いなかったりすると思いますが、実はこの1枚だけでした。ははは…
 そ、皆さんご存知の何処にでもいるベニちゃんです。何処にでも居ると言うくらいで、道南にもちゃんと居ましたよ!他にもオオモンシロとルリシジミは見ましたね。あとはクロヒカゲくらいかなぁ。あ、そうそうカラスアゲハの綺麗なのが飛んでました。見かけたのはそれだけですね。ま、仕方ないじゃないですか。でも、きっとこの写 真見る度に思い出しますよ。雨の中、私を気遣い半島中走り回ってくれたS氏のこと、そして“この頃は、まだ私も体力があった”ってこと…

 

OMAKE(2003.08.02 茂辺地

 ご本人の許可が出ましたので…これが心優しき、S氏の後ろ姿です。男は背中で語るものですが、残念ながら傘に隠れて、何を語っていらっしゃるのかは分かりませんが…あちこちと、走り回ってくれてありがとう!!

 

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