第23章 最後の夜(Italy9)

 

1.自分へのお土産


ベネツィアの仮面

 疲れてルチアーノママの家に戻ったら、ママの心のこもった家庭料理が待っていた。確か72歳だと言っていたと思う。私がヘロヘロに車酔いした、あの道を辿ってママは、スイスに住むルチアーノに会いに、自ら車を運転してやってくるのだという。頭の下がる思いがした。
 明日、ヨーロッパを発つことは特に話題にはならなかったが、暗黙にそれは皆分かっていた。だからかどうかは分からないが、皆いつになくお酒がすすすんだような気がする。食後、私の買った仮面 を見せたら、ベレーナが被って見せてくれた。

2.ワイン蔵


Pierinoが管理する地下のワインルーム

 食後、伝説のイタリアン・ノンベが管理する地下のワイン庫を覗く。ガラスのワイン容器がずらりと並んでいた。1本に90リットル入っているそうだ。ポンプで瓶に詰め、コルク栓をして寝かすんだとか。もっとも彼にかかったら、ワインも寝てる暇が無いのかもしれない。


ルチアーノ・ママと一緒に

 いつもはあまり飲まないらしいルチアーノ・ママも今夜はワインを付き合ってくれた。カメラを向けるとルチアーノがすかさず寄り添った。やっぱ、顔は似てるかも。彼の優しさは、パパとママの両方から受け継いだものだと実感した。
 そして、私が私の母とこうして寄り添うなど、おそらく無いことだろうとも思った。イタリア人のアッケラカンとした性格が羨ましい気がした。

※長々とヨーロッパ紀行にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。実際にはもう一日、イタリアで過ごしたのだが、彼等にマルペンサ空港に送って貰った以外特にご報告するべきニュースもないので、ここで一応終了としたい。ご愛読に感謝します。

次週より普段通りのField Noteに戻りますが、少しお時間を頂いて、野草を中心にした、ヨーロッパ総集編を作りたいとも考えています。

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