クリンソウ畑で(チョウ編)

クリンソウ(2017.06.24 浦幌町 )

 この時期になると行きたくなるのは浦幌町。Fieldは、このクリンソウが好きなのかも知れない。求めるのはこの眺めと、小型ヒョウモンの姿である。お天気予報は曇り、予想最高気温は20度…であった。
 いつものコースで行こうと思ったが、念のためにナビを使ってみた。すると…心配したとおり一部の道路が閉鎖していて、迂回路が見つからない…とナビに表記された。10数kmの遠回りをしてようやく現地に着くと、林道の両脇には、こんな眺めが広がっていた。気温は19度で、空は全面 的に薄い雲に覆われていた。それにしてもチョウの姿があまりに少ないような気がする。

 

エゾシロチョウ(2017.06.24 浦幌町)

 実は時々小雨が降っていた。それでチョウの姿が少なかったのだが、雨が休止すると、クリンソウにはエゾシロと、ミヤマカラスが来ていた。
 ところで昔のFieldは、目指すチョウを望遠レンズを使い、アップで撮影し、ピンが合っていればOKで、開翅シーンが撮れれば更に満足していた。でも、そんな写 真って言ってみれば商品写真・カタログ写真で、ここ10年ほど前から、どうも自分の撮りたい写 真とは別物のような気がして仕方ない。

 

エゾシロチョウ(2017.06.24 浦幌町)

 近年のFieldは、可能な限り望遠レンズから広角レンズに持ち替えるように意識している。この写 真は16mmレンズで撮影した。チョウまでの撮影距離10数cm。ここまで近づくことを許してくれるチョウは滅多にいない。
 皆さんは、5W1Hというのを聞いたことがあるとあると思う。そう、新聞などの記事を書くときに、そこに盛り込まなくてはいけない要件です。何時(いつ)、誰が、何処(どこ)で、何を、どのように、どうした…というやつ。Fieldは1枚の写 真の中に、この5W1Hを盛り込みたいという気持ちを強めています。

 つまり、何時…植物などを写し込む事で、時期が想像できる。何処で…引いて撮ることで、どんな環境にチョウが居るか判る。誰が…チョウの種別 が判る。何を…、行動の相手が、花(吸蜜)なのか、♂と♀なのか、♂と♂なのか。どのように…その時の姿勢、行動パターンが判る。どうした…お腹を充たしたのか、交尾をしたのか、休止中なのか、吸水中なのか…など。多生ピンボケであろうが、ブレであろうが、そんな事よりもっと重要なのは、やはり折角の“写 真”ですから、標本では伝わらない5W1Hだと考えます。

 

ミヤマカラスアゲハ(2017.06.24 浦幌町)

 そんな思いで、時折雨の降る中撮影を続けていて、とても気になる事に気付きました。これは、ミヤマカラスアゲハの♀です。まー標準的な色かなと思います。



ミヤマカラスアゲハ(2017.06.24 浦幌町)

 そうして、こちらはミヤマカラスアゲハの♂です。生まれてかなり日にちの経過した個体も多く、スレ、破れ、尾状突起の欠落も見ましたが、模様、色、など標準的だと思います。

 

ミヤマカラスアゲハ(2017.06.24 浦幌町)

 ところが、今回“えっ!”と思う2個体を見ました。それがこの写 真(この2枚は同一個体)なのですが、何だか青系の色が強く感じられ、赤味が少ない気がします。(要するに紫色系の色が無い)更に前・後翅とも外縁の帯の広さが著しく広く感じます。皆さんはどうお感じになりますでしょうか。やたらと明るいブルーが目立つ飛翔シーンを見たFieldは、ん?いつだったか台湾で見た別 のアゲハを思い出しました。
 Fieldは、キマダラとかアカシジミとかスジグロとかの種を、更にやたら細かく別 亜種にされることを歓迎はしてはおりませんが、それれを別亜種と主張する方々に、これも別 亜種になるんじゃないの?と言いたい気がしてきました。今後の着目ポイントとして、意識しながらミヤマカラスを撮りたいと思います。

 

ヒメウラナミジャノメ・スジグロシロチョウ(2017.06.24 浦幌町)

 残念ながら、小型のヒョウモンを期待していたのですが出会うことはありませんでした。しかし、この2種は少ないながら姿を見ました。でも、不思議に思ったのは、クリンソウでの吸蜜シーンが一度も無かったのです。何で?クリンソウの根本に咲く小さな、そして数少ない花に来ていました。これって好き嫌い?それとも彼等にとってはクリンソウの蜜は、吹い難かった?不思議? つづく…


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