下見

タンチョウ(2009.11.22 鶴居)

 “あのルチアーノが日本に来てるんだって?”そうなんだよ。もう何年会ってないんだっけなぁ〜。でもさぁ、その間、日本には来てるんだよ、会えてないけどね…。丁度台湾に行ってた時だっけなぁ。相撲部屋を取材するとかってね。高見山部屋でね、ほら親方ハワイ出身でしょ。だから英語で会話が出来て都合が良かったんじゃないの?
 “で、今回の来日の目的は何だったのさ?”何でも来年ドイツの出版社から日本を紹介するような写 真集を出すってことで…追加取材みたいなこと言ってたなぁ。いきなり沖縄〜石垣に行ったみたいだから、彼としても取りこぼしたと感じているシーンが多々有ったんじゃないかなぁと感じてるんだけど…。
 “じゃあ、北海道での取りこぼしって何よ?”彼が言うにはね、鳥の写真だって言うのよ。“ん?北海道の鳥?”そう、日本人の好きな鳥だって。だから、でかいフクロウか?それとも鶴か?と尋ねたら、鶴だって。考えてみたらルチアーノって景色は撮るけど、花とか動物とか鳥とか…言ってみれば、Fieldが得意としている分野の写 真って撮ってないもんなぁ。

 

タンチョウ(2009.11.22 鶴居)

 だから言ってやったのさ。お前が鶴を撮りたいのなら、世界で最高のガイドを手に入れたぞってね。いや、ちょっと吹いた訳だけどさ。そして、Fieldの鶴のページを見ろって…。そしたら、“Amazing!(驚いた!)、確かにお前の言うとおりだ”ってね。でもさ、Fieldが鶴の写 真を撮るのはいつも2〜3月なんだよね。この時期の鶴ってどうなんだろなぁ???
 そう思って下見に行ったのよ。 この時期、日の出が6:30頃だから、4時に出掛けたら良いかなぁと思ってね。
珍しく12時に寝たんだけど、結局眠れなくてね。一睡もしないまま3時になっちゃった。えいっ、面 倒だ!と3時に出発しちゃったんだよね。そしたら2時間で鶴居に着いちゃって…まだ真っ暗よ。撮影ポイントを探しようも無い。でね、ちょっと仮眠した。え?寒いよ車の中も。だってマイナス8度くらいだもの。 でも寝袋持参していたからね… 。ま疲れもあったし寝ることは出来たけど、目覚めたら思ったより明るくて…あれっ、ちょっとヤバイかも!焦って車を発進させた。
 そしたら間もなく川に架かる橋の上から鶴発見!朝焼けだし、これは良いかなぁと思ってカメラを向けたけど、絞り開放で1秒だもんなぁ。何とかホールドしたつもりだったけど…景色は止まったよ。でも鶴が動いてブレ写 真(一番上の写真)なんだわ。こりゃダメだ!でも、もっと明るくなるのを待つ余裕はなくて…いや、朝焼けの中で撮りたい場所があったからね…で、移動中にもう一度鶴を発見!先程よりは明るいから、シャッタースピードは稼げたけど、朝日が当たらない場所でね。これもイマイチ意味がない!

 

撮影ポイント(2009.11.22 鶴居)

 いや、Fieldが撮りたいのなら、そこで粘ったと思うよ。でもさ、ルチアーノが撮るための下見だからね。最高のポイントを探しながら更に移動しましたよ。で、こちら…ようやく鶴の塒として超有名な、知る人ぞ知るというポイントに到着!まだ朝焼けの赤味の残る中、全国のカメラマンが集結〜と思ったら、えっ?!何と3人?
 そりゃそうでしょう。肝心の鶴が居ないんだもの!やっぱなぁ〜時期がまだまだ早いんだよきっと…。どうしましょ?!

 

タンチョウ(2009.11.22 阿寒)

 とにかく、鶴居の様子は分かったと…そう判断したので阿寒へ向かいました。30km位 の移動ですので朝焼けの赤味は無くなっていましたが。こちらは順調に鶴の姿を見ることが出来ました。ヤレヤレです。でも…やはりここは午後からのポイントだと再認識しましたね。だってほら逆光でしょ。
 やっぱ無駄な移動だとは思うけれど、朝は鶴居、午後は阿寒、夕刻にもう一度鶴居に戻るのが正解かも知れません。
まー、わざわざヨーロッパから来るんだから、無駄 でも何でも最高の条件で満足できる写真を撮ってもらいたいものです。
 え?ロクな写真が撮れてないって?そんなんは、どうでも良いのよ。下見なんだから。まあ、鶴の状況はだいたい掴めたので、こんなんで良いかなぁと、移動することにしました。

 

阿寒岳 (2009.11.22 阿寒)

 “目的の鶴の状況が分かったのなら、下見はもう良いんじゃないの?”って?まぁ確かにそうなんだけれど…折角北海道に来て、その目的が日本を紹介する写 真集の発刊であるなら、ちょっと待ってよ!と、Fieldとしては言いたいのよ。
 しかも、ここは阿寒でしょ。だったらさーもうちょっと取材して行ってよ!いや景色じゃなくてさ…

 

まりむ館 (2009.11.22 阿寒)

 ルチアーノと出会って間もない頃、彼が唐突に言ったのよ。“Tarzanってさぁ…”えっ!“Tarzanって誰だって?”“Field”のことさ。いつも彼の郵送物は、to Tarzanなのよ。何でかって?まーそれは長くなるから、いつかまたね。でも、郵便屋さんも、もう分かってるから郵送物はちゃんと届くんだよね。
 とにかく彼が言うには“Tarzanってさぁ、もしかしてアイヌか?”だってさ。まー、確かに濃い顔してることは認めるよ。アイヌっちゃあアイヌ、ウチナンチュっちゃウチナンチュ。だってさ、国際線に乗るじゃない。スッチーがずーっと日本語で乗客に話しかけていて、何でかFieldのトコに来た途端に外国語だもの…。要するに国籍不明な顔なんだろうね。それとね、彼が言うには“何だかお前は普通 の日本人と思考回路が違うみたい”だってさ。
 まあそれは置いといて、日本には先住民族のアイヌが居るという認識があって、しかも、日本を紹介するなら、何とかアイヌ文化も紹介してよ!ってな気持ちがFieldの中では有った訳ですよ。で、タイムリーにもここ阿寒でイオマンテの火祭りが催されるってことが分かったもんだから、多少面 識のあった阿寒の平澤さんって方にメールを出したんだけどね…。

 

ポロンノ (2009.11.22 阿寒)

 ところが、待てども返信は無し!参ったね〜。そう思っていたら、HBC(北海道放送局)のDegさんから、“近況を知らせてよ!”とのメール。で、まあそんなことを書いたら、良い人を紹介するってSさんを紹介された。まりむ館館長だって…。まりむ館ってのは、今年の春先に阿寒でオープンした、ネイチャーセンターで、聞いたことは有ったけど未だ行ったことは無かった訳です。Sさんはそこの館長で釧路市の観光課長の肩書。
 とりあえずメールを出してみたら、親切に色々と教えて下さった。そして平澤さんもご存知の様子…。少し光明が見えたぞと思っていた矢先、今度は平澤さんからメールが来た。これはもう、Sさんが平澤さんに連絡してくれた結果 かなぁと思っていたら…そうでもなかったみたい。と言うのは、一度削除されたメールをチェック中に私のメールを見つけてくれたそうで、とにかくメールであーでもない、こうでもないと言いたいこと言ったもんで、こりゃ一度直接会いに行った方が良いかなぁと思い、寄ってみた訳。
 Sさんはね、今日お休みと知りながら寄ったんで会えなかった。とりあえず名刺だけ置いてきましたけどね。で、平澤さんは午後からの出勤だったもので、ここポロンノでお昼を食べてから彼の事務所を訪ねました。

 

ハクチョウ (2009.11.22 音更町)

 ポロンノは平澤さんお勧めだったもので…。このお店、鹿肉とかキトピロ(ギョウジャニンニク=アイヌネギ)を使ったメニューを出すお店で、まあ、面 白いんですけど難もありましたね。例えば店内で流れている曲…Fieldの好きなジャンルではありますが、音量 が少し大きかったり…まあ、そんなことですが…過去に喫茶店も経営した者としてはちょいと気になった訳です。あ、でも、奥様の接客はとても親切丁寧で、好感が持てましたね。
 ここで時間を過ごし、平澤さんの勤める事務所を再度訪れました。彼もまたとても丁寧に対応して頂いて感謝感謝です。彼とは今年5月に初めてお会いしましたが、これからも機会が有れば是非ともお会いしたい方だと感じましたね。特に子どもの頃の思い出話など興味をもって聞かせていただきました。
 午後からは、十勝管内の鶴の様子を確認…と思っていたのですが、平澤さんのお話が興味尽きなくて長居をしてしまいました。十勝に戻ったときには、既にこんな感じでした。

 

日高山脈と十勝大橋 (2009.11.22 音更町)

 そんなこんなで、400〜500kmくらい走ったかなぁ。Field自身としてはそんなに良い写 真が撮れませんでしたがね。でもまあ、下見という目的は達成できたかなぁと思う訳です。
 でね、この時期のFieldってメッチャ忙しいのよ。まー知ってる人は知ってると思うけど…年間で2番目に忙しい時期。折角だからこの撮影以外にも2〜3企画は立てたのですが、う〜んこなせるんだろうか?ルチアーノとの再会の楽しみと同時に、大きなプレッシャーも感じてる…っていう感じですかね。どうなりますやら…



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