黄色い姫は何処(いずこ)

静内ダム(2008.05.03 新ひだか町(旧)静内町

 今年のGW、前半と後半に寸断された感じで、イマイチ。普段多忙を極めているとはいえ、カレンダーの数字が赤ければ、とりあえず行方不明になっても文句を言う人は居ない。最初は北海道半周の計画を立てた。いきなり稚内へ行ってオホーツク沿岸を南下し、そのまま襟裳までという、ちょいと無謀な計画である…
 ところがこの計画、ちょっと問題があった。きちんと計算はしていないのだが、おそらく走行距離は2,000kmを超えるだろう。
Fieldにとって、500km/日の走行は全く問題のない距離だが、問題はガソリン代だよなぁ。今月から160円/リットルだもの、下手すると燃料代だけで3万ほどかかりそう。やーめた!
 やーめたは、良いけれどじゃあどうするの?この連休。またまた道南の桜じゃあ芸がないしなぁ。そうだ!静内に行こう。静内の黄色いヒメギフを狙ってみよう。4日間あるから、撮れるまで粘るつもりで食料と燃料(Field用=アルコール)を詰め込んで静内に向かった。


 

エゾノリュウキンカ(2008.05.03 新ひだか町

 出発前の予想気温は15度程度だったが、朝7時45分、現地に着いたときには既にかなり気温が上がっていた。例年だと5月10日頃、この地で桜祭りが行われるのだが、今年は例年より開花が早いことが予想され、今年は今日3日から開催と聞いていたから、混雑する前に到着するようにと考えて、早い時刻に家を出たのだが、それは正解だと思った。
 静内までの道のあちらこちらで、桜が満開だった。湖の岸からの眺めでは、野生のツツジや桜も満開で、人間の手で植えられたツツジや桜も良いけれど、自然の中のそれらも、また美しいと感じた。
 ヒメギフの居る沢には、いつものようにリュウキンカが咲き誇っていた。沢に帯状に続く黄金色の花を見て、リュウキンカはもしかして龍金華と書くのかなぁと想像した。

 

センチコガネ(2008.05.03 新ひだか町

 林道を登り始めると間もなく汗だくになるほど気温は高かった。昨年この林道の入り口で、地元の林業関係の方とお話をした。H大学の蝶研がネットを持って大勢で来ていたことを憎々しげに、某教授の個人名まで挙げて非難されていたが、カメラしか持たない私には好意的で、林道のゲートを開けて、ご自分のジープで林道の奧まで案内して頂いた。
 Fieldも、この林道には25年ほど通ってはいるが、最初の頃はゲートの手前からヒメギフの姿が見られ、何の苦労もなかった。しかし、年々確実にヒメギフの数が減って生きている。それは森全体の生育と、食草のオクエゾサイシンの関係もあるだろうが、はやり採集圧がかなり高いことも、大きな要因だと思う。
 林道脇にセンチコガネを見つけた。このコガネムシはピンク系からブルー系そしてグリーン系と色の変化が大きく、また美しい種ではあるが、本来は“雪隠黄金虫”で糞虫である。何故センチコガネという名に変化したのか少し興味がある。とりあえず撮影してみたが、虫林さんのGyoromeレンズをお借りしたいシーンだと思いながらシャッターを切った。


オオサクラソウ(2008.05.03 新ひだか町

 林道の様子は、既に咲き終えたカタクリがあったものの、まだまだ花びらがしっかりしたものも多く、他の植物の生育状況も良い感じだと思った。8時半前に、昨年ここでお会いした方が教えてくれた最も有望なポイントに到着した。
 しかし、姫が居ない。スジグロシロ・モンキ・ルリしか飛んでない。一体どうなってるんだろう
?と思い始めたときに、親子4人でネットを持った一家に出会った。どこかでお会いした方だと思いながらお話をしていて思い出した。士幌町のS先生一家だった。考えてみたら、彼とは過去にここで2度程会ったことがある。
  ネットを持った方が4人も、同じポイントに現れたので、分が悪いと思いFieldは移動することにした。林道内の枝道を次々と歩いてみた。しかし、結果 は同じ。林道のゲートに戻り、一休みしているところに、S先生一家が戻ってきた。どうやら彼等もスカだったようである。先週は北見でヒメギフの発生が確認できたこと、おそらく今頃は知床でも発生してるんじゃないかとか、4月19日、旭川のヒメは既に擦れた個体が居たなどから、この静内のヒメは既に発生が終わっているんじゃないかと話されていた。(つづく)



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