胡蝶舞う国へ その13 眠れぬ夜〜帰国

T.V.画面(2007.09.18 台北市

 雨の降り続く中、Fieldは侯さんとともに景美站で降り、少し早い時刻ではあったが、そこで夕飯とビールをご馳走になった。
 ホテルに着く頃には雨は本格的になり、台風が近いことを感じた。本当なら夜の街に繰り出して、食べ、飲み歩きたかったが、どうもそんな悠長なことをしている場合では無さそうだ。部屋に隠りビール片手にT.V.画面 に食い入った。明日は帰国の予定だが、果たして飛行機は飛ぶのだろうか?不安でたまらない。
  T.V.は韓国を襲った台風の話、プーケットでの飛行機事故の話などFieldの不安を煽るニュースばかりが続いた。

※帰国後分かったのだが、この時台湾を襲った台風の名前はウィーパーと言う名前だったようだ。そして偶然撮影したTV画面 にその名が映っていたのだが、その時点では全く理解できてなかった。

 

T.V.画面(2007.09.18 台北市

 そして何とも解せなかったのが、台風のニュースなのだ。普通 日本では“台風○○号”と表現する。ところが、台湾ではそういう表現をしていないのに気付いた。例えばアメリカのハリケーンには女性の名前が付いていることは承知していた。しかし、台風にも同じ様な名前が付くことを、聞いたことはあったような気もするが、完全に忘れていた。
  韓国を襲ったのは台風何号なのか、今、台湾に接近しているのは何号なのかさえ分からず、ニュースを見ていても混乱が増すばかりなのだ。結局深夜までT.V.に見入っていた。何だか不安で明け方までT.V.を付け放しだった。
 朝、殆ど眠れないまま荷物をまとめ、食事の時刻を待たずにロビーに下りた。フロントの方に聞くと飛行機は飛ぶと思うとの返事だった。本当は路線バスで空港に出ようと思ったが、やはり風雨が強そうで、バス停で待つ気にはなれなかったので、タクシーを呼んでもらった。

 

出国ロビー(2007.09.18 台北市

 タクシーの運転手は、英語は理解出来なかったが、少しだけ日本語を理解してくれた。札幌行きに乗るのだというと、今年の8月札幌へ行ったと言う。ラーメンが美味しかったとか、納豆も食べることが出来たとか…様々な話が出来て退屈はしなかった。
 空港で搭乗手続きをするのに並んだ。エコノミーかファーストクラスかと聞かれたので、“Economy class” と答えたら、“Economy is full”との返事が返ってきた。な、何だぁ?それでなくてもチケットレスで、旧人類のオッサンとしては、やや不安な気分だったのに、いったいどうなるの?すると“ファーストクラスを用意します”と仰る。“追加料金は、いくら?”と尋ねたら“Free”との返事。やれやれ、というかこれはラッキー!と思わなくてはいけないのか?
 無事出国審査も終えて搭乗ロビーに入ることが出来た。…ということは、当然飛行機は飛ぶんだよね?ふーっ、やれやれ!でも何か変!余りにも人が居ない!

 

出国ロビー(2007.09.18 台北市

 とにかく寝不足で、搭乗口近くに腰掛けボーっとしていた。ところが、窓から見る限り乗るべき飛行機の姿は無い。出発時刻が近づき、おかしいなぁと思い始めたときにアナウンスが流れた。中国語…チンプンカンプン。英語…ってことは、次に目的地の言語、日本語でアナウンスがあるだろうと、ボーッとしてたら、何時まで経っても音沙汰無し。あれ?えっ?わーっ、さっきの英語のアナウンス真面 目に聞くんだった!と気付いても後の祭り!
 慌てて館内の掲示板を見に走った。何々? 成田Tokyo-軒並み取消、名古屋-取消、琉球Naha-取消、関西-取消、日本行きは軒並み欠航じゃないの!新千歳Sapporoも文字が赤い!何々?!…改時だって?遅れるっちゅう意味か?果 たまた様子見なのか…不安は一気に大きくなった。どうりで人影がまばらだもの…
 パック旅行なら旅行会社が何とかしてくれるだろう。しかし私の場合、乗るべき飛行機の変更、そうなればホテルの延泊等全て自分で何とかせにゃならん!?!? どうすりゃええのよ!もう顔面蒼白状態!もしかして、最悪今夜は空港のロビーで寝るんか?良く見るよなーT.V.でそういった場面 …

 

飛行機が見えた! (2007.09.18 台北市

 搭乗口近くに戻り椅子に腰掛けた。もうどうとでもなれ!という、半分やけっぱち状態だった。そこにツアーコンダクターと思しき女性が現れて、中国語で何やら話し始めた。気付いたら、Fieldの周囲の方々は、皆胸に黄色いバッチを付けていた。台湾から札幌へのツアー客に囲まれていたことにようやく気付いた。Fieldはキョトンとして聞いていた。
 そのコンダクターが、Fieldに気付いたようで側まで近寄って来て“分かります?”と日本語で聞いてくれた。“いいえ、さっぱり”と答えると、“滑走路が混雑していて、飛行機が遅れます。でも、2時間遅れくらいで飛ぶ予定です。”と教えてくれた。“分かりました。ありがとうございます”と答えると“いいえ”と言って去っていった。 いやー、格好良かったな〜彼女!(笑)

 

さすがファーストクラス!(2007.09.18 機内

 2時間と少し遅れて飛行機に乗った。JALのJシートは経験が有ったが、国際線のファーストクラスは初めてだった。席に着く前に興味があったので台湾の新聞を持って席に着いた。それも後で考えたら問題行動だった。さすがに席は広く、隣との間の肘掛けは30cmくらいあった。座席全面 のモニタも14inchくらいあったと思う。
 機内食は和洋中の中から、洋食を選んだ。間もなくフォークとナイフが3本ずつ置かれた。当然フルコース。日本人と思われるスチュワーデスに食前酒は?と日本語で聞かれワインをチョイス。千歳まで4時間ほどあるので、映画を見ようと思った。結局選んだの“フラガール”その後台湾の方と思われる スチュワーデスに中国語で何事か尋ねられたが、さっぱりワカラン。参ったなーと思ったが、どうも中文の新聞を持ったので、理解出来ると思われたらしい。返答に困っていたら、隣の席の方が“ワインのおかわりは、どうですか?と言ってます”と教えられたので、“No thank you”と答えたが、何か悔しいな〜、隣の人物は何物?
 フラガールは、結構泣けた。そのおかげで千歳までの時間は短く感じた。飛行機を下りようとしたとき、先程の隣の男性が空港職員と談笑していた。なーんだ航空機会社関係の方でしたか、どうりでねぇ…。悔しさが少し消えた(笑)しかし、Fieldにはここから200kmのドライブが待っている。うーんシンドイ!でも、帰って来れただけ有り難いと思わなければね。

 

戻る      2007年版目次へ      次へ