運が好転の兆し?

アカマダラ(2007.08.15 中札内村

 昨日の定点観測地点では、あわよくば残り3種の未撮影種のうちの1種エゾミドリが撮れやしないかと期待したのだったが、ダメだった。実は過去に何度もエゾミドリの卍飛翔を見ていた場所だったので、勝算が無かったわけではない。しかし、何故か撮れない。しかも、何年も撮れない!
 今日、もう一度…と思わなくも無かったが、楽しみは後にとって置いても良いだろう。それより、もう一つの定点観測地点を覗いてみようと思った。函館でアサギマダラを見たことも、中札内を目指した理由の一つになっているかも知れない。十勝では最もアサギマダラを見るチャンスの有る場所だから…そして、出来ることなら過去に一度だけ中札内で撮影したことがあった、ウラキンシジミを撮影できないかと期待していた。

 林道に入ってすぐに、蝶の多さに顔が綻ぶ。どうやらサカハチとアカマダラが混生しているようなので、両種の写 真を押さえておこうと思うが、なかなか思い通りには撮らせて貰えなかった。

 

サカハチチョウ(2007.08.15 中札内村

 両種とも裏と表と、両方分かる写真を心掛けたのだが、なかなか難しかった。特徴はやはり白帯だが、裏面 はサカハチの方が幅広に見えるが、表面はアカマダラの方が広く見える。そんなことに、今まで気付きもしないで、漫然と写 真を撮っていたのかと思うと、何だか情けない気がする。

 

ミヤマカラスアゲハ(2007.08.15 中札内村

 中札内はミヤマカラスアゲハやカラスアゲハの多い土地ではあるが、春型が一斉に発生するので撮りやすい反面 、夏型は発生にばらつきがあり、しかも、春型は吸蜜植物がツツジ類に依存しているが、夏型は吸蜜植物が多岐にわたるので、一層写 真を撮るのに苦労する。
 ヨブスマソウにミヤマカラスアゲハが訪れていたので、カメラを向けたが、全面 に青く発光するかのような翅の輝きに感動した。

 

ウラキンシジミ(2007.08.15 中札内村

 ウラキンシジミは本来、夕方になると活発に活動するのだが、多くのゼフィルス類があまり吸蜜しないのに対し、この蝶は比較的花に吸蜜しに来る。 Fieldの経験によれば、ウラキンシジミは白い花が好きと思われるので、白い花を次々とチェックした結果 、期待していたウラキンシジミを見ることが出来た。(この花はオオイタドリ)

 

ウラキンシジミ(2007.08.15 中札内村

 過去に日高で数度撮影したことはあったが、いずれも翅に損傷のあった個体ばかりだったと記憶している。しかし、ここで見つけた2個体は、この時期にしては比較的損傷の少ない綺麗な個体だった。狙っていたとはいえ、可能性は高くないと思っていただけに嬉しい。
 ここ数カ月、運とかツキとかに見放されたような気分でいたFieldであるが、函館のミヤマカラスシジミ、そしてこのウラキンシジミ…と、何だか少し好転してきたような気分になれた。それにしても普段から蝶のネーミングには、かなり不満を持っているFieldであるが、この蝶の和名はなかなか良い。キラキラと輝きはしないけれど、確かに金色だ。“いぶし銀”という表現があるが、こちらは“いぶし金”とでも言いたくなるような色合いだと思う。

 

ベニヒカゲ(2007.08.15 中札内村

 中札内と言えば、もう一種この蝶を忘れてはならない。この前のクモマがあまり良い写 真が撮れなかったので、せめてベニは…と思っていた割には、何だか発生数も少なく若干期待はずれの感もあったが、それでもカワミドリで吸蜜する姿を捉えることが出来た。
 満足できる写真も数枚撮れたことだし、そろそろ引き上げようかと思ったときに、“十勝蝶の会”の代表とすれ違った。彼とはリンゴシジミの保護活動等で、若干の意見の相違はあったものの、無類の蝶好きであることは誰もが認めるところ。お元気そうで何よりです。ご挨拶程度のお話をして、Fieldはこの林道を引き揚げた。

 

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