どこまでもツキがない!

キバネセセリ(2007.08.12 八雲町

 毎年恒例と言っても良いほど、Fieldはこの時期に道南を訪れている。その訳は、片道8時間かかるこの地を訪れるには、少なくても3日間の猶予が欲しいのだが、お盆なら何とかそれが可能となるし、北海道に生息する蝶の内、未撮影種がこの道南に集中している…という理由があるからだ。
 今年も道南を目指して車を走らせた。途中八雲で休憩がてら、周囲をうろつく。ここにはスジグロチャバネセセリが居るはずなのだが…天候は晴れ。気温も充分に高い。時期も悪くないはず…でも居ない。他の蝶の絶対数も少ない。気温が高すぎるのか?それとも生息地に何か異変があるのか?

 確かにこの辺りは水田が多く、おそらく農薬などの影響を受ける可能性は高い。それにしても、昨年まではあんなに居たのに…何故?

 

スジグロチャバネセセリ(2007.08.12 八雲町

 猛暑の中、さんざ歩いてみて、ようやく数頭のセセリを見ることが出来た。例年だとこの時期スレた個体を見ることはないのだが、どうも少しくたびれ気味の個体だった。
 とりあえずスジグロを見ることが出来たので、オオゴマシジミ・ムモンアカシジミ・オオミスジの生息する某林道を目指して、更に走った。その林道でたっぷり時間を費やし、そのまま林道で夜を明かすつもりで、かなり力が入っていた。

 ところが国道から逸れて、林道に向かって間もなく、唖然とする出来事があった。何とその林道はごついゲートで封鎖されていたのだ。看板が有り、林道全線が閉鎖されていること、80mm以上の雨が降ると、このような措置を取ることがあること等が書かれていた。この林道の入口は他にもあるのだが、“全線閉鎖”なのだから、どこに回り込んでも入ることは出来ないだろう。ここまでの走行距離は既に500kmを優に越えている。今年のField、運がないと思ってはいたが、とことんツキに見放されたようだ…参ったね。

 

エゾタヌキ(2007.08.12 八雲町

 疲れもあったので、そのゲートの手前でフテ寝を決め込もうと思い、シートを倒した。うとうとしかけたところで、エンジン音を聞き目が醒めてしまった。むっくりと身体を起こすとそれはパトカーだった。サングラス越しに警官がこちらを見ながら、パトカーは去っていった。うーん眠らせてもくれないのか…少し腹が立った。考えてみたらパトカーを止めて、このゲートがいつ開くのか確認するんだったと思ったが、後の祭りだった。
 目が覚めたので仕方なく、辺りをうろついてみた。すると今まで気付かなかったのだが、近くに公園があるらしいので、そこを覗くことにした。ところが公園といっても、湧き水があり池があって、周囲に朽ちかけたベンチがいくつか配されているだけ。しかも、至る所に“マムシ注意”の立て札がある。池にはトンボが来ていたが、あまり雰囲気は良くない。

 さっさと退散しようと思ったが、公園の更に奧に何か気配を感じた。大きさと色から、もしかしてタヌキ?と思いそっと近づいてみた。まだ野生のタヌキは撮影したことがなかった。うん間違いないと確信し、カメラを構えるが薮の向こうでピンが合わない。慌ててピンを手動に切り替えたが、その時の“カチッ”というスイッチの音に、タヌキは反応してしまった。撮れたのはこのショットのみ。

 

白神岬(2007.08.12 松前町

 夕刻にはまだ間があったが、林道が閉鎖されていたことで、予定が狂ってしまった。とりあえず今夜の野営地を決めなければならない。明日は函館に来ているハズのS氏と会うことになっているから、とりあえず函館方面 に移動しておいた方が賢明だろう。
 移動中に渡島半島最南端の白神岬に立ち寄った。ん?ここって北海道の最南端?それとも襟裳岬の方が緯度が低かったっけ?結局どちらが南だったかは思い出せずにいたが、こういう景色の良い所で一夜を明かすのも悪くないかとも思った。しかし、南には海が開けているが、北にはすぐに崖があり、ちょっとまずい。実は、今夜はもう一つ計画があったのだ。

 

トンネルメモリアルパーク(2007.08.12 福島町

 更に今夜の塒を求め、函館方面に向けて走った。走行中にトンネルメモリアルパークの看板を見つけた。どうやら小高い丘の上にあるらしいので行ってみることにした。小さな公園だったが水がある。トイレもある。東に海が見えるから日の出も見えるだろう。そして空もある程度の範囲を見渡すことが出来る。よし、ここに決めた。実は今夜ツキが無い、あ、いやいや月が無い。しかも、流星群が見られるかも知れない日なので、おあつらえ向きに思えた。
 未だ陽が沈むまでには時間があったが、今日は他にすることもないから、ここでのんびりしようと決めた。買ったばかりのカメラと、交換したばかりの携帯のマニュアルを公園のベンチに腰掛けて読んでいたら。地元の方がワンコの散歩に来ていた。あまりにメンコイので写 真を撮っても良いですかと近づいたら、パピとスピッツが立ち上がって迎えてくれた。

 暗くなる前に、買っておいたコンビニおにぎりとカップ麺で食事を済ませた。考えてみたら今日最初の食事だった。三脚を固定しカメラをセットしてビールを飲みながら流星を待った。来た来た!流れた流れた!!早速幾つかの流れ星を目撃し、シャッターを切り続けた。数十枚撮った写 真の中に何枚か流星が写っていると良いのだけれど…。身体が夜露に濡れてきたので撤収したが、その時カメラのレンズが曇っているのに気付いた。あらら…こりゃダメかも!

 

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