七夕に会いに行った蝶は…

干し草ロール(2007.07.07 滝上

 6月に横浜へ行った時、祖谷氏がカラフトセセリの標本が無いと言っていた。それじゃ今年送らせていただきますと、約束していた。どうせ滝上に行くのなら、ついでに遠軽で久しぶりにヤマメ釣りをしたい。丸瀬布でオオイチも狙って、オホーツクのどこかでキャンプでもしながら、何か美味しい魚介類でも焼いて食べたいと、相変わらずの欲張りなドライブに出掛けることにした。
 夜中の2時に起きあがり、準備を整えて出発したのは3時、空が少し白み始めていた。遠軽に着く頃にはすっかり陽は昇り、早速入渓と思ったが久しぶりのことで、ポイントを見過ごして
しまったらしい。しかも、既に至る所に車が停められ、遅れをとった様子。ようやく人気(ひとけ)のない場所を見つけ竿を出してはみたが、久しぶりのピンコ(当歳魚)釣りで感が戻らない。ようやく1時間で小さいのが10数匹。今夜のキャンプで塩焼き用もと思っていたが、既に残りヤマメは釣られた後のようで1匹も姿を見ることが出来なかった。
 早々にヤマメは断念し、丸瀬布へ向かった。丸瀬布〜紋別線でオオイチを狙えると思っていたが、そこには看板が出ていた。“災害復旧工事の為、通 行止。工期8月31日まで”あらら、困ったね〜仕方なく、丸瀬布〜上渚骨線へと回り込んだが、そちらも通 行止め!しかも、こちらの工期は、9月30日までだって!

 

カラフトセセリ(2007.07.07 滝上町

 これはもうオオイチどころではない。いったいどうしたら滝上に行けるんだろうと、ルートを模索したが、結局浮島まで高速で戻るルートしかないと判断した。しかし、何と80kmの回り道になる。うひゃー、参ったね。途中オオイチモンジを幾度か見かけたが、見たというだけに終わってしまった。
 滝上の2km程手前に空き地を見つけた。数種の吸蜜になりそうな花が咲き、食草のオーチャードも有る。ここならカラフトセセリが居るかも…と思い車を停めたら、予感的中!居るは居るは!数十頭の姿が目に飛び込んできた。カラフトセセリの撮影はこれが2回目。前回は吸蜜植物がヒメジョオンだけだったので、今回はなるべく色々な花での吸蜜シーンを撮ろうと心掛けてみた。

 

カラフトセセリ(2007.07.07 滝上町

 実は、今現在Fieldの愛機α7 digitalは修理中でdemage7を持参してきたが、極小のカラフトセセリには正直手こずった。風も時々強く吹いていたもので、ピンボケ写 真のオン・パレードだ。後で半分以上は棄てることになった。
 数十枚撮影したところで採集に切り替えた。極小の蝶は、死ぬと硬化して標本にするのは至難の業だろう。そこで秘密兵器を持参していた。スポーツ用の冷却スプレーだ。捕獲後このスプレーをかけると、身体が冷え切って蝶は動けなくなる。それを三角紙にいれて、すぐにファスナー付きのビニル袋に入れ、更にクーラーバッグに入れた。これで仮死状態のまま保存できるはず。

 

カラフトセセリ(2007.07.07 滝上町

 10頭ほど捕獲した後に祖谷氏に携帯電話を入れた。“どこで何採ってるの?”彼は驚いた様子だったが“特に何ってこともなく、今上諏訪だよ”との返事。“今、オホーツク近辺でカラフト採ったけど、10頭で良いか?”と言うと“それって、送って貰える訳?でも、欲張っても仕方ないだろ!”との返事。
 お喋りしてるときに、ブルー系が飛んだ。“カバイロかも!”と言うと“それも送って”との返事。“じゃあ切るね”と携帯を切って追いかけた。しかしそれは、結局ヒメシジミだった。しかし、たまにはフィールドから友達に電話するのも面 白いもんだなぁ。

 

ヘラオオバコ(2007.07.07 紋別 市

 夜はサロマでキャンプをしようと思っていた。Fieldは無類の甲殻類好きで、北海シマエビをたらふく食べたかったのだ。しかし、Fieldが所属する某団体関係者の方々が顔を見に来てくれることになった。まあ、シマエビはチト高いが、私の街のスーパーでも売っていて、いつでも食べることは出来る。
 ならばと、彼等の都合が良い場所にキャンプサイトを変えてテントを張った。夜の酒宴の前に周囲を散策してみた。ナンテンハギ・センダイハギ・ハマエンドウ・バイケイソウ・タカアザミが咲き、ノビタキが囀っていた。そこで、こんなものを見つけた。ヘラオオバコである。いつぞやアオタテハモドキの餌を求めてヘラオオバコを大捜索したことを思い出した。札幌〜富良野間では、いくらでも見ることが出来たが、結局十勝地方では広尾に極少数自生しているだけだった。それで、おそらく北海道の道東・道北に自生地は無いだろうと勝手な想像していたが、まさかオホーツクの海岸近くで見かけるとは夢にも思わなかった。

 陽が傾きコムケ湖の湖面が赤く色付き始め、アオサギが悠々と舞っていた。おっと、いつまでも見とれてはいられない。そろそろ戻って炭火を熾さなければ…はてさて今夜はどんな宴になるのやら…

 

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