姫に会いたくて その1…旭川は遠かった!

 前日はアカゲラの写真をたっぷり撮って遊んだ。午後から本気モードで夕刻まで仕事に励んだのだが、ついに予定のところまで仕事は追いつかなかった。実は夕刻から旭川へ出かけて、車中泊をし、早朝からヒメギフチョウの撮影をしたいと目論んでいたのだが、午後9時になっても終わらない。ダメだこりゃ!こうなったら29日早朝出発ということに切り替えようと方針を変え、飲みながら仕事を続け、最後にアカゲラの写 真をパソに取り込んでから寝た。
 朝4時半に目覚め、外へ出てみたら、真っ赤な朝日が見えた。あれ?晴れるのは午後からだったんじゃないの?そう思ったが既に青空が広がっていた。レンズは昨夜手入れをして車に積んであったが、飲み物だ、食べ物だ、何だかんだと準備をしてエンジンをスタートさせた。 旭川へのルートは、狩勝峠を通るルートと、三国峠を通るルートがあるが、距離にして数キロしか違わず。好みではあるが、慣れている狩勝峠を目指した。


峠からの眺望(2007.04.29 三国峠

 途中清水町のコンビニで、おにぎりを調達している時に、見知らぬ オジサンに声をかけられた。“24時間やってるスタンドありませんか?”聞けばこれから日勝峠を超えるというのだが燃料の残量 があまりに心許ないのだそうだ。時刻は5時半になろうとしている。芽室町まで引き返せば24時間営業のスタンドはあるが、ここから30分かかる。仮にそうしたところで、ここまで戻ってきたら6時半。だったら、清水町のスタンドが7時に開くはずだから、ここで1時間半待機してる方が賢明ですよと、アドバイスさせていただき、気の毒にと思いながらも先を急いだ。
 ところで狩勝峠を超えて、富良野の手前にFieldのお気に入りの場所がある。エゾエンゴサクが一面 に咲き紫の霞がかかったように見えるのだ。この時期通過する時には必ず車を停めて何枚か写 真を撮るのが恒例になっている。さて今回もと、広角レンズを選んで…ん?カメラは…おいおい、冗談は止めてくれ!カメラは何処よ!!血の気の引く中、回転の鈍くなった頭でゆっくりと思い出してみた結果 、カメラは自宅のパソにUSBケーブルに繋がったままだと結論が出た。
 ありゃー、どうしましょう!ここまで既に100kmも走っている。このまま走って写 真はサブ機のDimage7で済ますか、それとも100kmの道を引き返すか?!まるで究極の選択だ!頭の中であれこれと判断材料を並べて結論を出した。α7Digitalを取りに戻ると…。途中清水町のガソリンスタンドを通 過する時に、例のオッサンが給油してもらっているのが見えた。先程は気の毒にと思ったのだが、いったい気の毒はどっちよ!!!!

 

 

ニュウナイスズメ(2007.04.29 旭川市

 カメラ忘れました事件は、昨年ツマジロウラジャノメを撮りに行ったときにも有った。しかし、今回引き返したのは、昨夜見た旭川の天気予報が、午前中曇りで、午後から晴れとのこと。今引き返しても午前中に旭川までたどり着ける時刻であったこと。仮に午後から良いシーンが見られなくても、明日30日もお休みで、しかも予報では更に天気が良さそうなこと。一昨年はヨーロッパ旅行で、昨年はお天気に振り回されて、結局2年間まともなヒメギフの写 真が撮れていなかったこと…などが判断要素となった。
 さて、今度こそカメラは持った。時刻は8時半。さすがに同じ狩勝峠を走りたくはなかったので、三国峠を通 過して、11時半には旭川市に着いた。ここまでの走行距離は既に400kmを超えていた。遠いなぁ〜旭川は…!
 少しお腹が空いていたが、そんなことは言ってられない。 とにかくヒメギフチョウに会いたい一心だった。2週間前ここに来た時に、石段を登り切った所でミヤマカケスと出くわした。今回も石段を登り切った所に、こいつが居た。どうやらニュウナイスズメのようだ。

 

ヒメギフチョウ(2007.04.29 北邦野草園

 一気に野草園の斜面を最上部まで登ったら息が上がった。二週間前まで、あんなに有った雪は全部融けていて、エンゴサクもカタクリも良い感じだったが、最上部には花が無かったので、南側の斜面 に回り込んだ。カタクリとエンゴサクがバランス良く咲いている場所を見つけ、ここで粘ることにしてみた。
 その場所には先客が居た。ヒオドシチョウだった。予想通り西側からの強い風に吹き上げられて、ヒメギフが次々とやっては来るのだが、Fieldより早くその姿を見つけては、ヒオドシがチェイスをして追い払ってくれる!あのなぁー!邪魔すんなよ!!(写 真は一応、飛翔写真。笹の上に止まってる訳ではありませんのであしからず。)

 

ヒメギフチョウ(2007.04.29 北邦野草園

 花の咲き具合といい、蝶の数といい、ジャスト・タイミングだったようで、期待が持てた。ただ、ヒメギフは午前中吸蜜をして、お腹が膨れ日中高度が上がると、パートナー探しと産卵に余年が無く、なかなか花に止まってくれない。うーん、やっぱ出遅れたのが響きましたかなぁ!
 それでも、Fieldに焦りは無かった。今日がダメなら、車中泊して、明日撮れば良いと余裕があった。今回ヒメギフを撮影するにあたり、テーマが有った。こういう写 真を撮りたいと、イメージが出来上がっていたのだが、まあそれはそれ、撮れる写 真から撮らせて貰いましょうってな感じで、この写真はマクロレンズ。1枚余計な葉っぱがあるけれど、まあ、かっちりと撮れたかな。

 

ヒメギフチョウ(2007.04.29 北邦野草園

 こちらは望遠ズームで撮ったのだが、もしかしてこの蝶、交尾嚢が無いけれど、メスなのかも知れない。オクエゾサイシンで産卵でもするのかと思ったが、余りにも時間が短かった。すぐに飛び立って、次に止まったのもオクエゾサイシン。そしてまた次へとそれぞれ数秒間止まる。念のためにチェックしてしてみたが、どのオクエゾサイシンにも産卵の形跡は無いのだ。おかしいな〜。この行動はどう説明したら良いのだろう?交尾前なので、産卵の練習?まさかね〜。
 行動観察をしたり、レンズを取っ替えひっかえしながら楽しんでいたのだが、そろそろ本気でイメージするシーンを狙おうかと斜面 のもう少し下の方に降りてみた。ここのカタクリもエンゴサクもなかなか良い感じだ。決めた!ここで夕方まで粘るぞと覚悟して、ヒメギフがやって来るのを待ちかまえた。(つづく)

 

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