恋の季節

スギナ(つくし)(2007.04.28 帯広市

 世の中ゴールデン・ウイークである。…であるが、本日のFieldには、お仕事が待っている。こういう時に晴れてくれると、わー!もったいないと思ってしまう。ゴールデン・ウイークの初日が晴れってことは、一般 的には歓迎すべきことと理解はしている。皆さん良かったねと、そう思うべきところではあるが、何しろFieldは了見が狭い。重ねてワガママなのである。どうせなら、Fieldが休みの日にとっておいてくれと、思ってしまう。逆に雨でも降ろうものなら、安心して仕事に集中できるのだが…。
 そんなFieldの思いを余所に、とにかく天気が良い。こんなに天気が良いのに、会社へ直行する勇気をFieldは持ち合わせていない。更に仕事に対する義務も霧散してしまう。晴れなのだから、霧がかかってちゃいけないのである。なんちゅう、相変わらずの訳のワカラン理屈を振り回して、合流点を目指した。

 実は、とっくに現れて良いはずのハシビロガモの姿を未だ見ていない。今年はもうダメカモと思いながらも、気になって仕方ない。そんな理由で合流点…だったのだが、やはり姿を見つけることは出来なかった。堤防にニョキニョキ顔を出していた“つくしんぼ”の写 真を撮って、お茶を濁してみたのだが…

 

 

エゾスジグロシロチョウ(2007.04.28 音更町

 とぼとぼと、会社方面へ向かってはみたが“つくしんぼ”の写 真だけで満足して、じゃあ今度は仕事…という気分ではない。会社を横目で見ながら、通 り過ぎて音更町S公園で車を停めた。特に何という目的も無く、逆に何か無いかと期待をして来てみたのだが…。さすがに公園内の雪は完璧に融けていた。
 少しうろついてみたら、何か白い物が飛んだ。慌てて駆け寄ってみたら、地べたに降りて翅を広げている。日光浴かと思ったら、そこに小さな小さなスミレがあった。この写 真を撮った直後に、遠くからこちらの様子を窺っていたおじさんから声がかかった。“エゾリスの写 真ですか?”あのねぇ!本気で話を聞きたいなら、もっと近くまで歩いて来いよ!大きな声で説明する気力なぞ、さらさら無いFieldは、“いいえ、違います”とだけ答えて、その場を去ることにした。

 

アカゲラ(2007.04.28 音更町

 うーん、気分悪い!先程から、あのオッサンがじっとこちらを見ていたのは気付いていた。しかし、順序が違うでしょ。普通 話しかけるなら、歩み寄るでしょ。4mか5mくらいの所でまずは“こんにちは”でしょ。それから“エゾリスの写 真ですか?”なら分かりますよ。でしたら、こちらも“たまにはエゾリスも撮りますけれど、実は蝶がメインで…”等と説明も可能ですけどね。最近の年寄りは礼儀を知らんのかね!20m以上も離れた所からでかい声を出されても、困りますでしょ。まさか、こちらから歩み寄る恩も義理もありませんしね。
 …等と苛立ちながら、場所を移動していたらアカゲラを発見した。いや、先程からアカゲラの姿が多いなぁとは思っていたのだが、こりゃもしかして、ツー・ショットの写 真が撮れるかも知れないぞと、じっくり観察することにした。

 

アカゲラ(2007.04.28 音更町

アカゲラ(2007.04.28 音更町

 実は最初、同時に3羽目撃した。しかし、いつの間にか2羽に落ち着いたようだ。一方が移動すると、もう一方が後を追い、だいたい1m以内の所に止まる。また移動する、追いかける…という行動を、林の中を縦横無尽に飛びながら繰り返していた。Fieldは、その度にカメラを手に追いかけ回した。しかし、目まぐるしく移動を繰り返すものだから、Fieldにはどちらがオスなんだかメスなんだか識別 する余裕も無かった。とにかくまるで鬼ごっこを楽しんでいるかのようだった。
 どうやら、アカゲラ達は恋の季節のようだ。時折ディスプレイ・ダンスのように、羽を広げるしぐさも見せてくれた。嘴どうし、カチカチとぶつけ合うような仕草も観察できた。人間のオスが“実は前から貴女のことが…”一方メスが“ごめんなさい”…そんな一言でケリが付いちまう人間の求愛とは訳が違う。とにかくしつこい!相手が根負けするまで、追いかけ回すが決して強引な真似はしない。1時間ほどこのカップルを追いかけて写 真を100枚ほど撮ったところで、視界から消えてしまった。ガンバレよ〜!アカゲラくん!!(Fieldは、あくまでもオスの応援)

 何となく気が晴れた。これで仕事が出来そうだと、車に乗り込む。Fieldの頭の中に昔流行ったピンキーとキラーズの“恋の季節”という曲が流れた。“恋は、私の恋は、空を染めて、燃えたよ〜♪”

 

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