寒〜い、寒〜い、北の国の公園にアカゲラが住んでおったそうな。あちらこちらから桜の便りが届くころになっても、寒〜い、寒〜い、北の国には、まだまだ雪がいっぱいじゃった。アカゲラは今日も木に止まり、コンコン、コンコンとつついておったが、なかなか餌にはありつけなかったのじゃ。

　アカゲラがふと下を見ると、１匹のエゾリスが、とある木の根元から何かを掘り起こし、雪の上をかけて行くのが見えたのじゃ。

　そして、そのエゾリスは手近な木にかけ登り、そこで何やらコリコリと木の実らしきものをかじりはじめたのじゃった。

　一部始終を見ていたアカゲラは、あの木の根元に何か美味しいものがあるに違いないと、先程エゾリスが掘り起こしたあたりをさかんにつつき始めたのじゃが…

　木ノ上からそれを見ていたエゾリスが、“オレの食べ物を横取りするな！”と、アカゲラ目がけて飛びかかったのじゃ。しかし、アカゲラが一瞬早く殺気を感じて飛び去った後じゃった。

　エゾリスは、くやしそうにあたりを見渡したのじゃが、アカゲラの姿はもう見えなかったので、諦めてどこかへ消えて行ったのじゃった。

　ところが、何とエゾリスが居なくなった途端に、どこからともなくアカゲラが戻ってきたのじゃ。エゾリスの気配が無いと分かると、アカゲラは、くちばしが泥まみれになるほど、何度も何度も木の周りをつついていたそうな…。
　寒〜い、寒〜い、北の国にも、春はもうすぐそこに来ているはずじゃが、“鳥も動物も、今が一番厳しい時期かも知れんのぉ〜”そうFieldおじさんはつぶやきながら去って行ったとさ…おしまい！