私の会社は駅から北へまっすぐ2km程の駅前通 りに面して建っている。ここは人口18万ほどの街だから、決して田舎ではないと思う。いつもの私は２階の事務所のパソの前にでんと座っているのだが、その時は１階の製版室と呼ばれる部屋で作業をしていた。
　そこへ工場の責任者が“カメラカメラカメラ！”と早口に言いながら入ってきた。いったい何事かと部屋の外を見たら、今度は“キツネキツネキツネ！”と指さす。ガラス越しに外を見ると、確かにキツネが１頭こちらを向いていた。“もう一匹居る。もう一匹！”
　駐車場の車にカメラを取りにいっている間に、キツネは道路を渡り、向かいの空き地に移動していた。とにかく３枚程撮影した時に、２匹のキツネは背を向けて、帯広警察署の裏手方面 へトコトコと去っていった。しかし、何でよりによってこんな交通量の激しいところに現れたのだろう。無事、塒（ねぐら）にたどり着いてくれると良いのだが…