落ちていたシッポ(2006.6.18 浦幌)

 昨年7月に浦幌の林道を訪ねたときに、カラフトヒョウモンとオオイチモンジを見かけた。オオイチにはまだまだ早いが、カラフトヒョウモンの新鮮な個体を撮りたいと思っていたので今年は是非とも6月中にと狙いを定めているのだが、またまた天候がぱっとしない。オホーツク海高気圧が居座り、どうやら今年も冷夏の予感。
 昨夜まで降り続いた雨はどうやら上がったが、気温は低そうで、蝶はあまり期待できないだろうと思いながらも出かけてみた。ところが、長雨で道路が橋付近で決壊し、本来土中に有るべきはずの橋脚がむき出しになっていて、通行止め。思ったポイントにたどり着けない。

 えー、折角ここまで来たのにぃ!と途方に暮れていたら、子鹿の兄弟がトコトコ歩いている姿を見つけ、閉鎖ゲートをまたいで、林道の奥へ入ったら、途端に鹿は逃げてしまった。すごすごと車に戻ろうとした時、路上にこんなものを見つけた。長さ17〜18cm。触れる気にはなれなかったので、正体は分からないが、ここで何か悲劇が起きたことに違いは無さそうだ。

 

クリンソウ(2006.6.18 浦幌町)

 実はこの林道の奥に池があり、その辺(ほとり)にはクリンソウの群生地がある。蝶がダメでも、その景色を撮影できればと思っていたのだが、それも無理のようだ。道端に小さな群落があったが、この奥の群生地は、もっと規模の大きなものだったと思う。皆さんに、お見せ出来ずに残念!!

 

ベニシジミ(2006.6.18 浦幌)

 空は、黒く厚い雲に被われている。風はなく寒いという程でもないが、まだまだ蝶の飛ぶ気温では無さそうだ。コゴミの上で休むベニシジミを見つけた。車に戻り、先週手に入れたばかりの180mmマクロを試してみる。ISO400でも 1/160 F5.6(補正0.3)。もっと絞り込みたかったがこのお天気で、手持ちの限界はここまでか。(ちなみにトリミングはしていない。)
 自分でも思うのだが、Fieldはケチである。言い換えれば貧乏性である。一昨年、一眼デジ本体を買ったが、2本のレンズは20数年前の代物。もう1本は10数年前の90mmマクロ。2本のレンズは解像度に不満があった。90mmマクロは解像度は悪くないが、マクロでありながら1:2の倍率しかないのだ。デジタルに対応した、解像度の高いレンズが欲しいと思いながら我慢してきたが、思い切って買ってしまった。皆が目にすることの出来ない貴重なシーンを数多く見ながら、最高の条件でそれそ記録することが出来ないのは、あまりにももったいないことだと感じたからだ。
  高い買い物をした言い訳は、これで通るだろうか…(笑)とりあえず、このレンズがこれから蝶を撮るときにメインになるだろう。今後も小遣いを節約しながら、広角・望遠もデジタル用に揃えたいと思う。

 

ノビタキ(2006.6.18 音更町)

 早々に浦幌は諦めて、リンゴシジミの発生地を覗く。全国的にも有名になってしまったポイントだが、実は橋工事があり、このポイントは今年で消滅する。そのことを知った私は、4年前から単独で保護活動を行ってきた。幾度も音更町・北海道と協議・会議を経て先週の火曜日、この地の食樹エゾノウワミズザクラ、吸蜜樹エゾニワトコ・マユミ計250本を移植すると言うことで、ようやく合意を取り付けることが出来た。
 ここ数日で、気温さえ上がればリンゴシジミが発生するだろう。皆さんに申し上げたい。音更町のリンゴシジミのポイントと言えば、それだけで場所を特定出来る人が大勢居るだろう。そこではもう橋工事が始まっている。築堤内の橋脚は既に完成してるのであるが、決してリンゴシジミを絶滅させはしない。どうせこのポイントは消滅するだろうと、今年乱獲が行われるようなことがあれば、4年に亘る私と北海道・音更町職員の皆さんの努力が水泡に帰すことになる。蝶を愛する皆さん、なにとぞ今年は採集を謹んで頂きたい。今秋リンゴシジミの卵が付着しているであろう樹木を移植し、来年の6月新しい発生地で乱舞するリンゴシジミの姿を皆さんにご紹介したい。それが私の願いなのだ。それまでどうぞリンゴシジミたちを温かく見守って頂きたいと思います。 (写真はノビタキ♀)

 

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