羅臼岳(2006.6.11 知床)

 5月の末から、知床行きを考えていたのには、訳があった。昨年、私はヨーロッパへ行った。そのおかげで、毎年その時期に開催していたヒメギフ撮影会が開催できなかった。今年こそは…と張り切っていたのだが、ヒメギフの発生の遅れや天候の都合で、何だか不完全燃焼気味なのだ。
 こうなったら、日本で一番発生の遅い知床のヒメギフを狙ってみようと考えていた。しかし、またまた天候に恵まれずに、出かけるのがズルズルと予定より2週間も遅れてしまった。

 もう今年は諦めようとも思ったが、いや待てよ〜。どうせ遅い発生地に行くのだから、その地でいつまでヒメギフに会えるのか確かめるのも、悪くないかも知れない。6月にヒメギフと出会えたら、それはそれで意義があるんじゃないかと考えを変えたのだ。

 

ミヤマカラスアゲハ(2006.6.11 知床)

 さーて、そろそろポイントに近づいたぞと、車を最徐行にして移動。その時、出たぁー!と思わず口走って車を停める。ところがヒメギフと思ったのは蛾だった。車に戻ろうと思ったときに、今度はキベリタテハが飛んだ。道端のアブラナ科の花にはミヤマカラスアゲハの雌が吸蜜に来ていた。
 今日の天気予報は曇り。最高気温は14度。午後から一時晴れのはずだが、既に快晴に近い。気温も予報より上昇しているようで、次々と蝶が現れ期待感はどんどん高まった。

 

キベリタテハ(2006.6.11 知床)

 車を木陰に停めて、じっくりと蝶を探すことにした。キベリタテハがやたらと多い。秋に探すとさっぱり見つからないのに、越冬態はこんなに沢山見ることが出来る。憎らしい奴だ。
 ボロボロな個体が多い中、比較的破損の少ないキベリが岩の上に止まった。バックの滝を入れて撮ってみようと、ノーファインダーでシャッターを切った。蝶にピンは来たが、F18まで絞ったのに、背景はボケてしまった。残念!

 キベリタテハと遊んでいるときに、黄色いのが飛んだ。遠くて確証は持てないがあれはヒメギフだと思う。何としても証拠写 真を撮らなければと、探すエリアを広げてみる。そしてついに目の前にヒメギフが現れた。私の足元をふわふわと飛ぶが、カメラのレンズはその前に現れたキセキレイを撮ろうと、300mmレンズに変えたばかり。近すぎてピンが合わない!

 

ヒメギフチョウ(2006.6.11 知床)

 6月も中旬になろうという季節に、日本の最東端、知床にはヒメギフが舞っていた。何としてもその姿をカメラで捉えたいのだが、ここはじっくり構えようと、一度車まで戻り、ドリンクで咽を潤す。
  その時ふと気付くと、何と車のすぐ側で吸蜜しているヒメギフがいるではないか!ここは、何としてもモノにしたい。遠くからシャッターを切りながら、少しずつ近づく。何度もシャッターを切りながら、間を詰めてようやくご覧の写 真が撮れた。正に3度(頭)目の正直! 実は1994年5月28日に、ここでヒメギフの写 真を撮ったことがあった。あれから12年。そして、ヒメギフの生態写真の最も遅い記録を2週間ほど更新することが出来た。
 ここまでの走行距離300km、しかし、その値は有ったと思う。札幌の友人からメールが入った。“今、大通 り公園に居る”だって。そうか、今日は“YOSAKOIソーラン”の日。私が札幌に居るもんだと思っているらしい。アハハ、残念でした!Fieldは今、知床だよー!

 

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