バス路線図(2006.4.4 新店)

 早安(おはよー)!今日は食事前に出かける準備を済ませ、例によって7時半にお粥を食べたら直ぐにお出かけ。しかも、何と!!訪台後初めてですよ、太陽が見えるじゃあありませんか!河原で蝶の吸水シーンが見られるかも知れないと、ワクワクしてきました。8時には民権西路站に到着。すぐに侯さん家に電話と思ったら、カード式公衆電話ばかりでウロウロ…ようやく駅に唯一のコイン式を発見し電話を入れる。何と1NTDからかけられます。“これから電車に乗ります!”
 昨日の作戦通り景美站で待ち合わせ…と思っていたが、電車のアナウンスが聞き覚えのない駅名を告げた“頂渓”?あら、ヤバイっ!慌てて降りて、一駅戻るが、朝のラッシュにぶつかり大混雑!古亭まで戻り今度こそ間違いなく新店行きに乗り換える。景美のプラットホームには、侯さんがベンチで待っていた。ロスタイムは予定より15分。“いやーご免なさい!お待たせしました。”と私“昨日電車を間違えないように言わなかった私が悪かった”と侯さん。あくまでジェントルマンなのである。
 新店站まで一緒に行って、バスに乗り換え、
烏來(ウーライ)まで。そこは先住民族(タイヤル族)の住む温泉街だ。更にそこからタクシーに乗り継ぐ。侯さんがタクシードライバーと交渉してくれる。500NTD。メーター計算だともっと安くなるのだが、タクシーの帰りに客が見込めないから、割増料金だと説明を受けた。ここまで来て良いも悪いも無い。とにかく目的地まで行ってもらおう。

 

枯葉蛾(2006.4.4 烏來)

 道はほとんど砂利道で、しかもあちこちで工事中。ただ途中でやたらとアオスジアゲハ系のタイマイ類が目を引く。陳先生が、安康とは蝶の種類が違うと仰っていた意味がよく分かる。悪路と工事で、いったいどれ程の距離を走ったか定かではないが小さな部落に着いた。侯さんは民家の人に声をかけている。どうやら、帰りのアクセスを心配している様子だ。
 とりあえず河原へ降りることにした。途中正面から高速で蝶が飛んできたので、咄嗟にネットですくうと、何とミカドアゲハだった。沖縄で数度見ただけの憧れの蝶である。果 たして吸水シーンをカメラに納めることが出来るかと期待が高まる。

 侯さんは、早速持参したトラップ用のパインの皮を並べたが、結論から言うとあまり効果 がなかった。結局訪れてくれたのは、カレハガだけだった。しかし、蝶が居ないわけではない。次々とタイマイ系が川に沿って高速で飛んでいるのだが、写 真に撮れる状況ではない。仕方なく採集をメインに切り替えると、アオスジアゲハよりミカドアゲハの方が数が多そうだ。更に初めて見る、柑桔鳳蝶(タイワンタイマイ)。これは綺麗だった。基本的にアオスジアゲハなのだが、青緑のラインが3倍くらい太い。更に私を夢中にさせてくれたのが、昇天鳳蝶(アサクラアゲハ)だ。虎斑模様で尾状突起がかなり長く、メチャ格好が良い!そして、目の前に白っぽいタテハがとまった。そっと近づくと、尾状突起が2つ有るではないか!!しかし、不覚にも私は何も出来なかった。ただ、その姿を脳裏に焼き付けただけ…。結局ここでは、アオスジ・ミカド・タイワンタイマイ・アサクラアゲハ各1頭を採集して移動した。

 

祠かな?(2006.4.4 烏來

 岸から離れ、少し高いところにある道路を下流へ向かった。川岸へ下りることが出来そうな場所を探すがなかなか見つからない。谷がかなり深いのである。小さな集落があり、川には橋が架かっていた。そこでこんなものを発見。この辺り、どこの集落にも祠があって、屋根には独特の装飾が施されていたが、これはちょっと珍しい。川漁師の集落で魚を奉っているのかなぁ?それにしてもこの魚、私の目にはコイ科のソウギョに見える。中国では有名な魚だけれど台湾にも居るのかなぁ?
 ここで、上半身裸でバイクにまたがる少年と出会った。侯さんと何やら話をしている。どうも私が日本人であると説明しているらしい。そして今度はその少年が発音練習?サ・ヨ・ナ・ラ…小さな声でそう聞こえた。きっと、“再見”を日本語で何と言うか、侯さんに尋ねたようだ。私の方を向いて少年は“サヨナラ”とハッキリ発音し、バイクで去っていった。
侯さんが“彼は、日本人に会えたことを喜んでいた”と言った。何だか清々しい気分になった。
※苦花魚: この魚の名前を読者の方から教わったので、私も真剣に調べてみた。はやりコイ科の苦花魚(クーファーユー)という魚で最大45cm程度になる。不法者がバッテリーで電気漁をやったり薬草を流し麻痺させたりして、大小構わず無差別 に乱獲した結果絶滅寸前になったらしい。青苔とそこに付着する微生物を主食とする為にアユのような香りと、内蔵のほろ苦さが絶妙なのだという。それがこの魚の名前の由来でもある。台北市は2003年、「護渓保魚」の政策を打ち出し、烏来全境内の渓流の釣りを禁止とした結果 、見事に苦花魚が蘇ったというから、この写真はそれを記念して作ったモニュメントと解釈して良さそうだ。(Field Noteって勉強になるなぁ…笑)

 
マルバネルリマダラ 圓翅紫斑蝶 Euploea eunice hobsoni(2006.4.4 烏來

 橋の袂の低木に黒っぽい蝶が飛んできて、どうやら産卵を始めたようだ。駆け寄ると木の向こう側に行ってしまったが、きっと戻ってくると思いそのまま待ってみたら、予測通 り戻って来てくれた。2枚シャッターを切ったところで、侯さんはネットを構えて待っている。“良いですよ”と私が言った途端に蝶は侯さんの大きなネットの中に納まった。
 それにしても完品だ。傷一つ無い綺麗な個体だった。

 

ナガサキアゲハ 大鳳蝶(具尾突型) Papilio mennon(2006.4.4 烏來

 橋の向こうにも蝶が居ると、少年が言っていたそうなので、橋を渡りしばらく歩いてみるがアオスジを見ただけで、あまり蝶は居なかった。やや大型のアゲハが吸蜜に来ていた。ベニモン?と思ったがそれより大きい。でもオオベニモンではなさそうだ。その蝶がナガサキアゲハ雌の有尾型だと気付いたときには、ブレ写 真を残して飛び去ってしまった。悔し〜い!
 その時またバイクの音がした。先程の少年が今度は二人乗りでバイクに乗っていた。すれ違いざまに“サヨナラー!”先程より大きな声でそう言った。何だよ何だよ!胸がジーンとするじゃないか!これは何かのロケ・シーンか?あいつの写 真撮っておくんだったかなー

 

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