コミスジ(2005.6.18 長流枝内

 6月22日、埼玉のTさんがフェリーで北海道にやってくる、目的は蝶と鳥の撮影らしい。Tさんと面 識はないのだが、私の蝶仲間のBさんやFさんと時々行動を共にしてるらしい方なので、来週末は私も案内役を買って出た。
 買って出たからには、しっかりと状況把握をしなければ…。特に今年は蝶の発生が大幅にズレ込んで、判断が難しいからだ。しかし、私の仕事がちょっとキツイことになっているから、遠くまでは御案内できそうにない。それでも、折角だから北海道らしい蝶を沢山見て行って欲しいと思う。取り敢えずリンゴの発生地とカバイロの発生地を確認に行くが、残念ながらまだ発生している様子はない。

 その足で、しつこくも長流枝内へ。あ、ついでに申し上げますが、定点観測ってのは、絶対に必要なんだと魚釣りを始めて気付きましたが、蝶もそうじゃなかろうかと、そう思って敢えてしつこい訳でもあります。

 で、最初に目に止まったのはコミスジ。いやーこんなに小さかったっけ?と思うほど今年の春型は小さい。柳の枝で何をやってるのかと観察していたら、どうやらアワフキムシの泡をチュウチュウしている様子。アワフキムシ、さぞや迷惑しているだろう(笑)

 

ヒメウスバシロチョウ(2005.6.18 長流枝内

 この時期の十勝名物…勝手にそう思ってるだけなんですが、私的には年に一度は撮影しなければ気が済まない。ヒメウスバ with チシマフウロ。まあ、好きな花と好きな蝶が一緒に居てくれるのだから、こんなにオイシイ被写 体はない。ゼイタク言えばチシマフウロがトカチフウロなら、十勝人として完璧と言えるのだが、トカチフウロはもう少し遅い時期に、もう少し標高の高いところに咲くものだから、ヒメウスバとのtwo shotは見たことがない。
 チシマフウロはその花の色に個体差があり、Field的にはもうちょっと淡い、透明感のある紫が好きなのだが、今年のチシマフウロは何故か濃い紫が多い様な気がした。
 ついでながら申し上げると、ヒメギフ wath カタクリ。ヒメシジミ with シナガワハギ、遠くはツマベニチョウ with ハイビスカスなど、お似合いのカップルには枚挙に暇がない。そんな、ベストカップルの写 真が撮れたときには、どうしても顔が綻ぶ。

 

キアゲハ(2005.6.18 長流枝内

 ついでながら、蝶の吸蜜植物の話をしてみたいと思いう。蝶が吸蜜する植物を選択するのに、何を基準にしているのか?本当の所は解らないのだが、私が想像するに、摂取出来る蜜の量 とそれを得るのに必要な消費エネルギー量の差が大きいものを選択しているのではないかと考えている。
 簡単に言ってしまえば、一輪の花で大量の蜜を頂ければ、蝶はその植物にやってきて、必要な量 だけ吸蜜し他にはどこにも行く必要はない。ところが花としては蜜を提供する代わりに、受粉を助けてもらいたいものだから、一度に大量 の蜜を提供したりはせず、少しずつ、そして多くの昆虫の訪花を期待する。

 そんな駆け引きの中で蝶はどういう選択をするかというと、一本の枝又は茎に沢山の花をつける植物。例えばマメ科のクサフジとかセリ科のオオハナウドなんかも小さい花を沢山つけます。またキク科の集合花たとえばタンポポなんか良い例で、実際それらの植物は蝶にとって絶好の吸蜜植物になっている。しかも、それらが群生すれば完璧な訳です。
 そんなふうに考えると、今まで私はアヤメは吸蜜植物に適さないと思っていたし、今まで蝶が吸蜜に来ているシーンを見たことがなかった。ところが、どうしたことでしょう。今日はキアゲハが次から次へとアヤメばかりを訪れるシーンを目撃!しかも、結構お似合いかも。

 

カラフトタカネキマダラセセリ(2005.6.18 長流枝内

 道東の初夏に忘れてはならない蝶と云えば、まずこれを挙げる方も少なくないだろう。まー、私にとっては子供の頃からそこらへんに居る蝶で珍しくもなんともない。どこかでも書いたと思うが、日本で一番名前の長い蝶だから、リストを整理していて、コイツの名前だけがはみ出るので、面 倒な蝶だという印象が強い。
 ところで、私には最近悩みがある。例の壊れたデジが直って来たのはいいが、どうもTTL測光値にズレがあるような気がしてならない。特に100mm〜300mm望遠ズームレンズを使用したときに、その影響が顕著なのだ。最初に気付いたのは、鶴の写 真を撮りに行った時だった。撮った写真全てがアンダー気味だった。雪原に鶴だったので、少し補正をかけてはいたが、それにしてもひどかった。

 このレンズ、永年α7とともに蝶の撮影に使っていたのだが、どうもデジとは相性が悪いようだ。そこで、今回は意識的にいろいろとレンズを換えながら撮影してみたのだが、この写 真を撮った90mmマクロが一番ヌケ良く撮れるし、ボケ足もまあまあ良い感じのようだ。

 

カラフトタカネキマダラセセリ(2005.6.18 長流枝内

 こちらもカラフトタカネキマダラセセリとチシマフウロ。花の色はこんな感じのほうが私の好みだ。
 ところで、この直後 ネット持参の2人とすれ違った。年輩の方に“パルナシウスですか”と声を掛けてみた。パルナシウスは、ウスバアゲハ属の学名で北海道では通 常ヒメウスバシロチョウを意味する。振り向いたお顔はいつかどこかで拝見したような…と思ったら。○○さんじゃないですかと、私の実名を仰られた。ん?あーH先生だ。依然お会いしたときに、カラフトセセリの写 真を刷り込んだ名刺を頂いたのを思い出した。“本州から見えた方を案内してるんです”…いずこも同じ事情な訳である(笑)

 

ハナック(2005.6.11 音更町十勝川温泉

 音更町にある十勝川温泉。国内唯一のモール温泉だとかで、沢山の温泉宿が建ち並んでいる。その近くにあるのが、ハナックと呼ばれる花時計。以前は国内最大の花時計だったそうだが、今はどうも違うらしい。その奥に見えているのが十勝ヶ丘なのだが、地元では(丘全体を)単にテレビ塔と呼んでいる。
 もう随分昔になるのだが音更町在住の私の知り合いが“ああ音更”という曲を作詞作曲した。それをプロ歌手が唄うことになり。キングレコードによってレコード化されたのだが、その時に私がレコードジャケットの撮影依頼を受けた。音更と云えばハナックでしょうと、こんな感じの写 真を撮ったのが、ジャケットになりポスターにもなったのだが、あれって何処へいっちゃったかなぁ?通 りかかったときに偶然人気がなかったもので、昔を思い出して撮影してみた。

 ちなみに、アナログ時計を撮影するときには、10時10分25秒の針の角度が一番良いって、皆さんご存知でした?

 

ウスバシロチョウ(2005.6.18 音更町昭和

 先程の長流枝内では、ヒメウスバシロチョウに混じって、少しだけウスバシロチョウが居たが、翅の伸びが不全だったり、シャッターを切るタイミングが悪かったりして良い写 真が撮れなかった。
 そこであちこちうろついてみたのだが、昭和という地区にミツバウツギが咲いていた。先週の岩内では、まだ蕾だったのが、ここでは3分咲きになっていた。そして先程の吸蜜植物理論通 り、この木も沢山の花を付けるから、蝶や昆虫にとって良い吸蜜植物になっている。しかし不思議なことに、この地区は長流枝内からさほど遠くはないのにヒメウスバは見られず、全てウスバばかりだった。

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つい先日“ ”このトンガラシみたいなのは何なのかと、
読者の方からお便りを頂いた。
赤ではなく、緑だから青トンガラシ…スパイスのつもりなのだ。
赤より青の方が効くと思うのだがどんなもんでしょう?