オナガアゲハ(2005.8.15 八雲町

 斯くして、道南初日は夕方から雨になってしまい、終了。まあまあの滑り出しだと思う。森町駒ヶ岳駅の近くで食べた“噴火ラーメン”がなかなかの逸品で、是非またと思った。旅は、動植物との出会い、風景との出会い、人との出会い…と楽しみがあるのだが、美味しいものとの出会いもまた格別 に嬉しい。
 一夜明けると、昨日の雨もあがり、絶好のアウトドア日和。さっそく早朝から移動を開始した。私がしつこく道南を訪れるのは、お気付きの方もいらっしゃると思うのだが、キタテハ・オオゴマシジミ・ムモンアカシジミ等の写 真を撮りたいからだ。キタテハは北海道ではこの道南にしか居ない。オオゴマ・ムモンアカは他にも産地はあるが、毎年この道南で姿を見ている。見ているのにもかかわらず、一枚も写 真が撮れていない。その悔しさで、もう意地になっている面もあるのだ。

 果たして今回はどうだろうか?とりあえずルートの都合上、キタテハを探しに乙部町方面 へと向かう。途中オナガアゲハを発見。今年の春は、中札内で一度もこの蝶を見ることが出来なかったので、今年初のご対面 。しかし、なかなかゆっくり止まってくれず、乱写した結果がこの写真。

 

キバネセセリ2005.8.15 八雲町

 オナガアゲハに夢中になっていたら、いつの間にかキバネセセリもやって来ていた。前翅に黄色いマークが見えた。このマークは雌独特のものである。
 今日も滑り出し好調に思えた。しかし、乙部町では天候の条件が良いのにキタテハは現れなかった。もっともこの地に足を4度運んで、まだ1頭見かけただけの種であるから、そう簡単ではないと予想は付いていた。こうなったら、ムモンアカとオオゴマに時間をかけようと、さっさと諦めて移動。

 

ムモンアカシジミ2005.8.15 松前町

 松前では、まずムモンアカシジミのポイントを覗く。あはは、居るわ居るわ、数十頭が上空でバトルを繰り広げている。見ているだけで楽しくなるほどの数だ。しかし、例によって撮影可能距離まで降りてこない。下から見上げていると“あ、この葉っぱに止まった”“あの葉っぱにも止まった”と確認できるのだが、ミズナラの葉に写 ったムモンアカの影だけが葉裏から見えるだけ。うー、悔しい!!
 そこで一計を案じて、ミズナラの木の道路を挟んで反対側の斜面 によじ登って見た。ここなら静止した蝶の姿は、直接目で確認できる。ところが、今度は距離があり過ぎて写 真にならない。望遠で撮影して、トリミングしてもこの程度。うーぐやじーい!!!!!夕方になれば状況も変わるかも知れない。もう一度夕方に寄ってみよう。そう思い直して、オオゴマのポイントを目指した。

 

キアゲハ2005.8.15 松前町

 オオゴマシジミのポイントを目指していると、その手前の林道に車両進入禁止のゲートがかかっていた。しかも、目印にしていた看板がない!“とって良いのは写 真だけ、残して良いのは足跡だけ”と書かれた大きくて、ちょっと不細工な看板が気に入っていたのに…
 しかし、幸いなことにここからポイントまではさほどの距離ではない。ゲート手前に車を止めて歩き出した途端、何とオオゴマシジミが目の前を通 過。しかも新鮮な個体だった。今日こそイケル!と期待が膨らんだ。その後更に2頭目撃したが、全て沢の向こう側に飛んで行き、斜面 を悠々と飛んでいる。

 こうなったら、私も沢の向こうに行ってみようと、低い崖を下りた。ところが、今度はオオゴマが現れない。しばらくうろうろしていたが、諦めて元の林道に戻ろうとしたのだが…。下りるときは夢中で下りたのだが、今度は上れない。たかだか2m程のほぼ垂直な崖なのだが、昨夜の雨のせいか、足場が滑る。もう必死の思いで笹の根にしがみつきながらようやく上った時には服もズボンも泥だらけ!

 

アブラゼミ2005.8.15 松前町

 結局、オオゴマシジミは更に3頭を目撃したが、静止してくれる個体はなく、ただ飛んでいるのを見た、というだけに終わってしまった。あーあ、今年もダメかぁ。夕刻が近づいたので、ムモンアカのポイントへ戻るが、先程あんなに居たムモンアカも、今度は1頭も飛んでなかった。
 ここまでの走行距離、千数百km。これで、帰宅すると二千kmは優に越えてしまう。空しさが増すと、やたらとセミの声が耳に付いた。ミンミンゼミ・ツクツクホウシ・アブラゼミ…。本州ではお馴染みのセミだが、いずれも十勝では見かけない種類だ。またまた不発に終わった道南の旅。何だかセミの声を聞くだけのために来たような気になって、ますます空しさがつのる。でも、来年になると、この空しさも忘れ、期待を胸にまた来るんだろうなぁ…ホント懲りない奴だよ。


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