ノビタキ(2005.7.2 音更町

 北海道には豊かな自然がある。確かに日本の他県より自然はある。しかし、それは守られてるとか保存されているといったことではなく、他県より開発が大幅に遅れているというだけのことではないかと思う。実際、年々開発が進み北海道の自然は徐々に失われているように感じている。
 たかだか100年前、北海道は殆どが手つかずの原生林に被われていたのだ。ところが今は次々と道路が造られ、平野部には人間がはびこっている。唯一平野部で自然らしさが残っているのは河川敷くらいなもので、そこで細々と生き延びている昆虫達によって、川の魚も野鳥も、辛うじて糧を得ているのだ。ところが、その河川敷も徐々に開発が進み川はショートカットされ、堤防は見栄え良く草を刈られ、ヤナギ類は切られて、代わりに桜の木が植えられている。
どの地方でも行われていた開発が何の反省もなく、ここ北海道でも同じ方法で押し進められているのだ。
 かつて私の住むこの街の庭には、キアゲハがたくさんやってきて、子供達の遊び相手になってくれた。ところが今ではその姿を都市部で見ることは滅多にない。キアゲハは、河川敷のエゾニュウを主な食草としていたが、見栄えが悪いと思われているのか、その姿を見ることは難しくなった。

 

カワラヒワとノビタキ♀?(2005.7.2 音更町

 しかし、大型のキアゲハはまだ良い方だ。飛翔力もあって自ら新天地へ移動することができるから絶滅の心配は薄い。しかし、飛翔力もなく食草から離れることのない種は、その草を刈られただけで絶滅する。そんなことを知ってか、知らずか、はたまた年間予算が余っているのか、滅多に人も来ない、せいぜいご近所さんがワンコの散歩に来る程度の堤防まで、綺麗に整備してくれる。
 実際被害に遭ってると思われるのが、リンゴシジミ。この種はおそらく十勝川、札内川、音更川、士幌川、猿別 川等の流域のウワミズザクラが生えているところにはどこにでも居た種だと思う。しかし、名前がサクラでも、一般 に思われているサクラとは趣が違うウワミズザクラは、どんどん切られてしまった。しかも、ウワミズザクラは主に河川敷にしか生えないものだから、リンゴシジミは激減してしまった。
※Jさんからノビタキではなくベニマシコ♀ではないかとご指摘を頂きました。
 言われてみると、そうかもしんない!勉強不足でスミマセン!!

 

ヒメシジミ(2005.7.2 音更町

 他にも、クサフジを主な食草にしているヒメシジミやカバイロシジミ。まあ、これはクサフジの繁殖力に助けられて、まだ健在ではあるけれど…。ナンテンハギに依存しているイシダシジミ(アサマシジミ北海道亜種)なんかは、十勝で見ることがかなり難しくなってしまった。
 
そんなことを考えながら、今日は河川敷を歩いてみた。ヒメシジミとカバイロシジミは結構飛んでいた。その中にイシダが混ざってないかと注意を払いながら歩くのだが、それらしき姿は無かった。

 

マツヨイセンノウ(2005.7.2 音更町

 イシダシジミは、サイズがカバイロシジミ。模様はヒメシジミにそっくりな蝶だから、飛んでいる姿を見て、それと判断することは非常に難しい。もしやと思い追いかけて、やっと止まってくれた蝶をファインダー越しに覗いては、なーんだ、ヒメか、なーんだ、カバイロかぁ!と無駄 な作業を延々と繰り返した。
 ネットを振り回して片端からキャッチしてチェックすれば、話は早いものをと思いながらも毎年そんなことを繰り返しているアホなFieldなのである。

 アホと言えばイシダシジミもそうとうアホだと思う。例えばカバイロシジミはクサフジ、ツルフジバカマ、ヒロハノクサフジなどマメ科の植物を食草としている。また、ヒメシジミは基本的にはマメ科のようだが、更に手を広げヨモギ・スミレまでも食草としているのだ。ところが一方のイシダシジミはというと、食草はマメ科のナンテンハギのみなのだ。何を律儀に。何で頑なに…と思う。その頑固さが、イシダシジミの生息域を極端に狭めているのだが、その頑固さがまたイシダシジミの魅力なのかも知れない。

※写真に関係ないお話に終始してしまいました。ご免なさい!

 

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