プロローグ(200310.25 沖縄県那覇市〜国頭村)

 “秋の沖縄を訪ねたい”昨年石垣島を訪れた時にそう思った。昨年4月の石垣は、気温が30度近くあるのに、夜の街灯に蛾が1匹も居なかった。地元の人に“何で?”と尋ねたら“まだ春でしょう”と言われて唖然とした。でも“言われてみれば確かに!”
 ならば、色々な昆虫の出そろう夏…でも台風恐い!んじゃ台風の季節の終わる頃に…と、9月の末に沖縄行を企てていた。ところが今年の沖縄は旅行会社の支店長も驚くほどの異常人気。航空チケットが取れないホテルも予約が入らない!そんなぁ〜!!どうも、サーズ問題その他で東南アジアを避けて、沖縄に観光客の足が集中してしまった様子。ならば、もう1(ひと)月延ばして10月ならどうだ!それでも、愛しの石垣は遠く、手に入ったのは本島までのチケット…
 ってなことで、やっとの思いで、那覇に着いたのが午後6時。あ〜あ、折角の休日が、丸1日移動だけで潰れてしまった。でも、来れただけラッキーと思わなきゃ。空港でさっそくレンタを借りていざ、宿泊地へ…ところが、これまた失敗で、予約を入れたホテルが奥間(オクマ)。那覇から車で3時間ほど…高速に乗っても2時間強。東西に最短4kmしかない沖縄も、南北には意外と距離があったんですねー。ん?もしかしてこのままチェックインしたのでは、晩飯が当たらない?!そこで、私のお気に入り“A&W”へ飛び込み軽食&ルートビア!“やったー!沖縄の味だぁ”その後スーパーへ行き“八重泉(古酒)”を仕入れる。どうも、泡盛は八重山のものが口に合うのだ(じゅるっ!)そんなこんなで、プライベート・リゾート・オクマ到着が午後10時。八重泉を咽に流し込み、ボトルを抱っこしたまま…ZZZzzz…

 

コオロギ(200310.26 沖縄県国頭村)

 泡盛の良いところは、かなり飲んでも朝まで残らないこと。この日も寝覚めスッキリ!そして案の定、子どもの頃の遠足の朝よろしくアラーム前に起床。6時半の朝食時刻を待ってレストランへ。あれ?沖縄のホテルの朝の定番、パイナップルジュースが無いぞ!ま、オレンジジュースで我慢しちゃるか。パンとサラダとヨーグルト。最後にコーヒーを…ん?!納豆臭い!!朝一番で来てるのに、まさか昨夜の沸かしコーヒーじゃないだろね!もうここのコーヒー飲んじゃらんけんね。フン!
 バタバタと朝食を済ませ、8時前に出発!目指したのはホテル近くの比地大滝。沖縄県最大の滝なんだそうな。車で数分で入口、その後、木製遊歩道を徒歩40分。とにかく早く誰か(蝶)の顔が見たいと近場のポイントを選んだのだが、入口に管理人が居ない!人が来たので尋ねると、“ここは8時にならないと開きませんよ”しばし待つと、白髪の白髭のやたらスポーティーなおじさんがチャリでやって来た。200円の入場料とペットボトルの飲料水を仕入れて、ようやく出発〜
 すぐにイシガケチョウが出迎えてくれたが、“お前は後で良いからね”となだめて先へ進む。今度は足元から元気なバッタが…どうやらコオロギ系ではあるが、ずんぐりとした体の割にはすばしこく、結構飛翔する。“アンタ誰?”

 

黒イモリ(200310.26 沖縄県国頭村)

 ところで、木製遊歩道と聞いていたので、私はちょっと甘く見ていたようだ。昨日まで峠や山間部では雪の北海道から、いきなり気温28度の沖縄。しかも、私は2ヶ月程山遊びをしていない。思いの外アップダウンの厳しい遊歩道で、これじゃ階段を行ったり来たりする運動系クラブの練習のようじゃあありませんか。やや足元があやしくなったころ、こいつに出会った。
 こいつも足元が怪しいくらいヨタヨタと歩いている。指でツンツンすると、一応は慌てている様子ではあるがそれでもとろい!“おいおい、それじゃ生存競争に勝てないゾ!”ところで“アンタ誰?”

 

アカヒゲ(200310.26 沖縄県国頭村)

 ようやく滝にたどり着いた。大きな岩がゴロゴロしていたが、その岩に赤茶色の綺麗な小鳥が止まっていた。“これが噂のアカヒゲかぁ!”(やっと、知ってるイキモノが…)岩の上に雄と雌が交互に現れてくれたが、ちょっと距離がある。デジの感度800で撮ってみたがノイズだらけ。周りは鬱蒼としていて暗いのだ。かといってストロボが届く距離ではない。撮影を諦めて帰りかけたとき、遊歩道の手摺に雄がとまってくれた。“チャンス”2〜3枚シャッターを切ると、このアカヒゲ、元気に一声囀って飛び去った。
 いやーサービス良いねぇ。咽まで聞かせてくれたよ。少し歩くと、先程の管理人さんがやってきた。“何かめぼしいもの撮れましたか?”“今そこでアカヒゲを撮影しました。これでアカヒゲとシロヒゲ(管理人さん)とクロヒゲ(私)が揃いました。”そう言うと“アンタうまい事言うねぇ”と管理人さん。
 管理人さんに受けたので気分を良くして下山。途中、登ってくる人達に“お早う、お早う!”と声を掛ける。ん、外国の方が登ってきたぞ。サスガは沖縄だぁ、と思った途端に“Good morning”と先に声を掛けられ、慌てて返事をした。その後幾人もの外人さんとすれ違ったが、負けじと先に声を掛けた。“Good morning ! Good morning ! Good morning ! ”ビートルズの曲が頭を過(よ)ぎった。

 

リュウキュウアサギマダラ(200310.26 沖縄県国頭村)

 ところで、ふと気付くと、ここまでで、まだ蝶にはイシガケチョウとリュウキュウコミスジにしか出会ってない。思いの外鬱蒼とした森の中だから仕方ないのか。それにしても、セミやら鳥やら蛙やら騒々しい森だ!
 下山して、先程のイシガケチョウのポイントに近づくとリュウキュウアサギマダラがふわふわと飛んでいた。沖縄では普通 種なのだが、実に南国っぽくて好きな蝶である。

 

リュウキュウウラナミジャノメ(200310.26 沖縄県国頭村)

 リュウキュウアサギマダラを追いかけていると、次に出会ったのが、このリュウキュウウラナミジャノメだ。えっ!何でもリュウキュウが付くって?仕方ないじゃありませんか、ここは琉球王国なんですから!
 しかし、綺麗ですなぁ!白い波模様が何とも言えません。ジャノメと言えば、やや暗い印象は免れませんが、ここ琉球王国ではジャノメもこんなに明るい印象になっちゃいます。ところで、この蝶は昨年石垣島でも見かけましたが、初撮影成功です。拍手〜!

 

イワカワシジミ(200310.26 沖縄県国頭村)

 何だか調子が出てきたぞと、ほくそ笑んでいたら、何やら見たこともない蝶が…裏が緑色で、表は黒っぽい。もしかしたら、イワカワさんじゃぁありませんか!
 何となく簡単に会える蝶ではないと思ってましたので、ちょっとビックリです。図鑑で、へぇー裏が緑色の蝶がいるんだぁ!と、記憶にありましたが、そうですか表は黒っぽいんですか。いやー嬉しいっす。


以下次ページへ続く…
(上記文章中、コオロギの“アンタ誰?”はマダラコオロギ。
イモリの“アンタ誰?”はシリケンイモリと思われます。
と、読者の“ふるさん”からご連絡頂きました。感謝!

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