第7章 古 城 Chillon(Swisse1)

1.スイスの朝

 昨夜は、ご想像の通り酒が進んだ。実は、ワインは時々ひどい悪酔いをするものだと信じ切っていた私は一気に1本以上飲んだ記憶がない。(1本飲んだら記憶が無くなって、その後何本飲んだかワカランという意味ではない!)ところが、朝起きて確認すると、あのボトルの半分は無くなっていた。ルチアーノに言わせると酸化防止剤の入ってないワインは、いくら飲んでも二日酔いはしないのだと言う。実際彼は3日間飲み続けた男を知ってるんだとか…


レプレ家ベランダから

 朝7時少し前に目が覚めた。えーっと今日は5月の1日だったよなー等と寝ぼけながら考える。窓からの光の加減では、外はもうとうに白んでいる様子。ダイニング・ルームに降りてみるがまだ誰も起きてはいない。しかし、そこから見えた景色は不思議な物だった。正面 に日差しを浴びて光る山(おそらくフランス領だと思う)そして手前の木々のシルエット。十勝平野の中心部に住む私には、なかなか理解できない光景だったが、惚けたアタマで考えてようやく理解できた。背後にドでかい山が控えているもので、直射日光が当たらないのだ!実際に9時をとうに回って、10時近くまでレプレ家の裏庭に日は差さなかった。恐るべしスイスアルプス!


レプレ家の愛犬シラス

 レプレ家の朝は、だいたい8時頃に始まるようだ、その間私の相手をしてくれたのが、このボーダーコリーのシラス。シラスと言っても、あの日本のちっこい魚のことではない。ルチアーノの好きなワインの銘柄から取った名前らしい。初日このワンコは妙に私に対して強く警戒をしていた。どうやらタバコの臭いが鼻についたらしい。しかし、毎度タバコを吸いに裏庭に出てくる見知らぬ 男に対して、シラスが警戒心を解くのにさほど時間を要しなかった。翌日からは、まるで猫のようにじゃれついてきた。

 

2.Chateau de Chillon(シヨン城)

 スイスでの日程は、全てルチアーノにお任せだった。もっともスイスに関する情報は、イタリアのそれに比してあまりに貧弱な物しか入手出来なかったから、そのようにお願いした。ただ、私の興味は城・教会などの古い建造物、フリーマーケット等の市場、そして、もちろん蝶だと伝えてあった。
 朝食を済ませて、10時過ぎにモントルーまで歩いて行こうということになった。途中、かの有名なシヨン城も見学できるという。 (以降、写真はルチアーノのカメラを借りて撮影)


レマン湖に浮かぶシヨン城

 この城はレマン湖に突き出た岩盤の上に建てられた物で、実に青銅器時代から居住の形跡があり、最初に城壁が建造された年代は不明。11世紀から13世紀にかけて大規模な拡張・部分再建工事が行われ現在の姿になったそうだ。ガイドのルチアーノ氏によれば、ここは陸路・水路の要で活発な経済活動の結果 、城主は多くの富を独占し、従って敵も多く城と言うより要塞なんだとか。湖上に浮かぶ美しい姿とは裏腹に、血生臭い歴史があったようです。


中世代の槍・甲冑

 そんな話を裏付けるように、展示物は装飾品などはほとんど無く、こうした槍・剣・鉄砲・甲冑など武器関係が多く、また地下には牢・囚人を繋いでいた鎖や首かせなどの展示物が目をひいた。


飾り窓からの眺め レマン湖対岸はフランス領

 陸地に面しては、敵の攻撃を想定してか、スリットのような縦長の細い窓、そしてレマン湖に面 しては装飾のある広い窓が設けられていた。かつての城主は、この美しい景色を眺め、何を考え何を想ったのか…(シヨン城には後日再訪しますので、今日はここまで)

 ところで蝶好きの私が、ここまで何故蝶に触れなかったか。イタリアもスイスも気温は高かった。特に本日の気温は何と31度!そう聞くとヨーロッパは夏なのかとお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが地球上この時期、北半球は春と相場は決まっています。イタリアの公園で桜をご覧頂いた通 りです。現に私が出国前にルチアーノに服装のことで問い合わせたところ“セーターは絶対に必要”との返答でした。その頃この地では雪が舞っていたと云うのです。ですから、この気温は異常気象と云っても良いと思います。ところが、ここまで私の目撃した蝶はイタリアの公園で1〜2頭のみ。双翅目(ハチ・アブ)の類もほとんど目にしませんでした。


モンシロチョウ

 ところがついにチャンス到来!シヨン城の近くの草原でついにコイツを発見!ヨーロッパのモンシロはオオモンシロの類が多いと思いきや、これは日本在来のモンシロに近い種類のようです。そして…次に目撃したシロチョウ科の蝶は、何と前翅先端部がオレンジ色でした!しかもツマキチョウよりその色は赤味が強い!もしかして…と思い粘ってみるとまた違う1頭が…これはもうクモマツマキに違いない!!

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