ジャノメチョウ科 (Satyridae)

ご注意:ここには学術的なことは一切書かれておりません。Fieldの蝶に関する思い出や印象のみが綴られております。 お暇な方だけ、どうぞお読み下さい。
■ヒメウラナミジャノメ
 北海道では年1回発生と記載されている本があるが、ほとんどの年で2回の発生が見られる。小型のジャノメチョウで、ヒョンヒョンヒョンという感じで跳ねるような感じで植物にからむように低く飛び、広い空間を自由に飛び回ることはない。
  北海道と本州に同じ種類のチョウが生息するとき、本州産の方が大型であるのが普通 であるが、1999年7月奈良市で採集した個体(複数)は、北海道産よりさらに一回り小型であった。

■ウラナミジャノメ
  未見

■リユウキュウウラナミジャノメ
 沖縄本島の比地大滝でアカヒゲを見た帰り、足元に小さなジャノメチョウを見つけた。それが本種だった。実はその前年石垣島でウラナミジャノメ類の写 真を撮影しているのだが、翅に傷みがありネットインさせることもなく数枚の写 真を撮っただけで終わった。後で確認したら、翅表しか写っておらず、それは次種のマサキウラナミジャノメだと思うのだが確証が得られないままになっている。

■マサキウラナミジャノメ
  未見

■ヤエヤマウラナミジャノメ
  未見

■ベニヒカゲ
 産地による個体差の大きな種で、1本沢が違うと、もう変異があると言われ、ファンの多い種である。 前翅にオレンジ色の斑紋が鮮やかで、比較的地味な種類の多いジャノメチョウ科の中では、異色を放っている。北海道産では後翅にオレンジ班が現れることはあまり無いようだが、本州産では次種のクモマベニヒカゲと見紛う程鮮明に現れる産地も有るようだ。

■クモマベニヒカゲ
 ベニヒカゲと似ているが、後翅(うしろばね)裏面 の白い帯は本種だけなので容易に区別が付く。また生息地もベニヒカゲと同じ場合が多いが、本種の方が10日ほど早く発生する。また、本種は成虫になるまで2年を要し、1年目は卵で越冬2年目は幼虫で越冬し、2年をかけて成虫になる。

■タカネヒカゲ
  未撮影

■ダイセツタカネヒカゲ
 火山性の岩礫地で見ることが出来る。2002.7.21は曇天で膚寒い日であったが、一瞬の晴れ間に数頭のダイセツタカネが現れ、運良くカメラに納めることが出来た。しかし、見かけに寄らず敏感で、なかなか近寄らせてくれない。

■ヒメヒカゲ
  未見

■シロオビヒメヒカゲ
 帯広市近郊では珍しくない種類だが、以外と生息域は限られている。近似種では、本州に白い帯のない“ヒメヒカゲ”が生息している。また、この白い帯は、道東へ行くほど広くなる傾向があるらしい。チャンスがあれば、定山渓のもっと帯の狭いタイプも紹介したい。

■ジャノメチョウ
  牧草地・畑の縁などで見かける蝶なのだが、若齢幼虫で越冬するらしい。厳しい冬を過ごすのに、何故卵ではなく幼虫になってから越冬するようになったのか、不思議だ。種名のdryasはギリシャ神話の“森の妖精”。 ぴったりくるネーミングだと思う。

■ウラジャノメ
 羽の模様をよく見ると全く違う種類なのに、なぜかヒメキマダラヒカゲと混同してしまうのは、生息環境が似ているからだろうか。 十勝で普通に見られたこの種も近年各発生地で生息数が激減しているように思う。いったい何が原因なのだろうか。

■ツマジロウラジャノメ
 今は亡き家具製造販売のY社長のご自宅に初めてうかがった時に「この標本を持っていますか?」と言って見せて頂いたのが、私とこの蝶との初めての出会いでした。Y社長は十勝の産地をやっと見つけ、採集したメスから採卵、百数十頭を飼育したとかで、その内の2ペアをお土産に持たせてくれた。それから野外でこの蝶と出会うのに更に十数年を必要とした。
 崖への依存度が非常に高く、生息地の崖から遠く離れることはなさそうだ。小規模な崖ではすぐに絶滅しそうなか弱さを感じさせる。 一時北海道産のツマジロウラジャノメは別種扱いされ、エゾツマジロウラジャノメとされていたが現在では同種として扱われている。

■ヒメキマダラヒカゲ
 渓流沿いの林道、登山道など比較的暗い場所をゆったりと飛び回り、ヒヨドリバナ、ノリウツギ等の花を訪れている姿を見かける。 全道どこにでも いるはずの蝶なのだが、どこにでもいるという安心感から、掲載が遅れてしまった。

■キマダラモドキ
 学生時代長野県に採集旅行に行った。郷の沢という有名な採集地だったと思ったが、そこで撮ったのがこの写 真。普通種でいつでも採集出来るような気がしてネットは振らなかった。その後友人に幼虫を送ってもらい飼育は経験したが、あれから20年以上経つのに、未だに野生のこの蝶をネットインしていない。この写 真を見る度に悔やまれるのである。

■オオヒカゲ
 名前の通り大型のヒカゲチョウで、ふわりふわりと独特の飛び方をする。 直射日光を嫌い、ナラ・カシワ等の薄暗い林の中で見かける。また一度驚かすと、茂みの中を器用に飛び回るので非常に撮影し難い蝶である。セリ科の花も訪れるが、樹液の方が好みのようだ。

■ヒカゲチョウ
 私が東京在住中には何度も見かけていたと思うから、特に珍しい種類とは思ってなかった。しかも、あまり綺麗というほどのこともない蝶だったので、数頭の標本を持参しているだけで、写 真が一枚も無かった。そのことに気付き、見かけたら撮らなければと思い初めて一体何年が経過しただろう。2006年9月ようやくその思いが叶えられた。

■クロヒカゲ
 ちょっと日が陰ったような林道に入れば、大抵はこの蝶と出会う。すばしこく飛び回ってはすぐに止まる。メスはオスより少し大きく、色もやや薄いのですぐに区別 がつく。ローマ神話に出てくるDiana(月の女神)が種名になっている。

■クロヒカゲモドキ
  未撮影

■シロオビヒカゲ
 台湾で撮影中のこと、比較的大型のヒカゲチョウが飛んだ。しかも、結構なスピードだった。とにかく撮ったことのない蝶だと分かったので、必死に追いかけたら、草丈の高い植物の中を縫うように飛ばれ、これはもうダメかと思ったら急にピタリと止まってくれた。草をかき分けようやくシャッターを切ったところで、飛ばれてしまいそのまま姿を見失った。
 北海道にはシロオビヒメヒカゲという種がいて、名前だけ見ると近縁のように錯覚をしそうだが、全くの他人のようだ。

■サトキマダラヒカゲ
 私の子どものころは“キマダラヒカゲ”という1種類だけだったはずが、今はヤマ…と、サト…に分かれるらしい。平地では本種の方が多いのでサト…とされたようだ。翅の模様は区別 が難しいが、幼虫の形態・生態に違いがあり別種とされた。

■ヤマキマダラヒカゲ
 私の子どものころは“キマダラヒカゲ”という1種類だけだったはずが、今はヤマ…と、サト…に分かれるらしいが、より山地性が強いので、本種はヤマ…と名が付いた。木の幹に垂直に止まるのが好きなようで、しかも頭を下に向けて止まっている姿のほうが、この蝶らしい気がする。

■ヒメジャノメ
 東京在住中は時々見かけることがあって、さほど稀少な種とは考えていなかった。北海道では松前から南茅部にかけて棲息していることになっていて、 2000年頃より毎年足を運ぶが、 未だに出会えていない。2006年4月、台湾の蝶に対し何の知識も持たぬ まま、台湾に行く機会に恵まれ撮影した写真の中に、この写真があった。北海道の蝶と謳いながら、撮影地台湾というのが私自身ひっかかってはいるが、まぎれもなく同種と云う事でご理解いただきたい。もちろんこれで満足することなく、道産のヒメジャノメをいつかご紹介したいと努力を重ねるつもりである。

■リュウキュウヒメジャノメ
 2001年の沖縄採集旅行は、3泊4日中3日雨にたたられ、つくづく日頃の生活態度の悪さを思い知らされたのだが、ちょっとした雨上がりの僅かな時間に、この蝶だけは惜しげもなくその姿を晒してくれた。もっとも、その時は“なーんだヒメジャノメか”と思いつつ、北海道には産しない蝶なので、一応写 真だけは押さえておこうと撮影したのが上の写真である。帰宅後図鑑で調べて、リュウキュウヒメジャノメとわかり、失礼しましたと、その態度にまた反省の念を抱いた。

■コジャノメ
 2003年6月初旬に宮城県を訪れる予定があった。しかし、5月の末に大きな地震が東北地方を襲った。少し思案したが、とりあえずJRは復旧したとニュースが入り出掛けてみた。しかし、今度は未だ6月だと言うのに台風に直撃されてしまった。雨の中目的地まで行くだけ行ってみようと出掛けたが、ほんの数種類の蝶にしか出会えなかった。そんな中、特に種の確認もせず撮った写 真の中にコジャノメの写真が混じっていた。それがこの種の初撮影となり、正に不幸中の幸いとなった。

■クロコノマチョウ
  未撮影

■ウスイロコノマチョウ
 沖縄旅行の最終日には、必ずと言って良い程寄るところがある。那覇市内の末吉公園だ。モノレールで空港まで直行できるし、さほど遠くもないので、出発ギリギリまで蝶と遊ぶことが出来るので重宝している。この公園の林の中にこの蝶は居る。暗いところが好きらしく、とても撮影し難いのだが、この蝶を撮る時には、ストロボの光量 を最小限に絞って撮影することにしている。