第4話 昆虫の体の進化
前、第3話で、動物の中で身体が頭部と胸部と腹部に分かれ、胸部に三対の足と二対の翅を持つものを昆虫という…ということを書きましたが、昆虫が現在の姿になるまでの進化の歴史を少し調べてみました。○発生前 昆虫の祖先は5億5千万年前のカンブリア紀の地層から発見された有爪(ゆうそう)動物のアユシェアイアという生物だと考えられています。丁度植物が海から陸へと上陸を始めたころです。
アユシェアイアはイモムシ又はミミズ状で、体は節に別れ、その節ごとに1対の足がありました。足には節がなく、その先端に爪があり環形動物と節足動物の中間と考えられています。アユシェアイアの化石のそばに海綿の化石が発見されていることから、海綿を食べていたかそれとも海綿を隠れ家にしていたと考えられています。足の爪はおそらく海綿につかまったりするものでしょう。○発生初期 最古の昆虫の化石が発見されたのは3億5千万年前(デボン中紀の中期)で、トビムシの仲間でした。ここで着目したいのが、足なのですが、既に3対6本になっていました。 それまで、各体節に1対づつあった足が何故6本になったか?私になりに考えてみたのですが、本数が多ければより体は安定します。しかし、一方でその足を動かす為に多くのエネルギーを消費します。要するに豊富な食べ物がなければ生きていけないという不都合が生じます。そこで最少のエネルギーで体を持ち上げる、つまり立つという行為を実現するには何本の足が必要か?皆様も考えてみて下さい。確かにフラミンゴは1本で立ちますし、古い話ですが王貞治さんも1本足で立ってましたが、それには筋力が必要ですから、エネルギーを消費します。普通 の人間も2本足で立っているだけで筋力を必要とします。先日小学校の4年生の子供達にお話をしたときに消しゴムに爪楊枝で足を作ると、最低何本で立っていられるかと質問しましたら、ほとんどのお子さんが3本と答えられました。しかし、この立つという行為は、移動して食物をとるとか、配偶者を捜すという目的が前提ですので、移動の為にはあと何本の足があると都合が良いかという問題になります。確かに4本以上あれば転けることなく移動は可能ですが、効率を考えるとあと3本つまり計6本あれば、体を安定させたまま、効率的な移動が出来るのではないかと思います。○巨大昆虫の時期 石炭期(3億6700万年前〜2億8900万年前)にメガネウラという70cmを超える巨大トンボが生息していました。1880年にフランスのthe Stephanian Coal Measures of Commentryにて、翅の化石が発見され、その後ヨーロッパの各地から化石が発見されたのですが。この古代トンボは、昆虫の特徴である2対4枚の翅を持っていました。
昆虫の飛翔をボートを漕ぐことに例えて考えてみると、ボートはオールで水をかく事によって推進力を得ます。昆虫も翅で空気をかくことによって浮力を得ます。しかし、水をかいたオールはもとに位 置に戻さなくてはなりませんが、その間ボートは慣性の法則で有る程度進み続ける事が出来ます。しかし、昆虫の場合、重力に逆らって浮游するわけですから、もたもたしていると落下しかねません。そこで、もう1対の翅を交互に動かすことで、連続した浮力を得ることに成功したのだと思います。
この時代の地球上にはメガネウラのような巨大な昆虫が生息していたようです。それはシダ植物群の大繁殖により当時の大気中の酸素濃度が35%と非常に高かったことと、昆虫を補食する天敵が居なかったからだと言われていますが、それでも彼等は衰退してしまいます。それは彼等があまりに巨大化したために、体の構造を支える外皮のキチン質が座屈したからだと言われています。○ 爆発的多様化の時期 こうして、3対の脚と2対の翅を備えた昆虫は、より小型へと進化し、2〜1億年前(ジュラ紀〜白亜紀)爆発的にその種類が増えます。被子植物が勢力を広げるのと同じようにして種類が増え、社会性昆虫のミツバチやアリが現れたのもこの時期だそうで、この時期に現れた昆虫は今も繁栄しています。動物では爬虫類の全盛時代です。○現在の昆虫が今の姿になった時期 今の昆虫と殆ど同じ姿になった時期で、500〜200万年前(第三紀)。氷河期の前で、地球の温度が下がってきた時期でもあり、人間の祖先と言われている、アファール猿人が出現したころで、人類も昆虫も今と同じ形で氷河期を生き延びることに成功した種なんですね。
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