昨夜の新宿では大いに盛り上がった。昼間の7名に私の弟と札幌のK氏が参加してくれて総勢9名の宴会となったが、土曜日とあってどこの居酒屋も混んでいた。ようやく入ることが出来ても“2時間で…”と制限される。その都度P氏が会場を速やかに確保してくれた。ありがとう!
 宴会の様子は、このページの趣旨から離れるので、割愛させて頂くが、趣味の仲間とは良いものだ。初対面 でも旧知の仲のように話が弾んだ。

 

ムラサキシジミ(2005.8.28 千葉県某所

 朝6時少し前に目覚めた。あれ?昨日と同じ書き出し(笑)疲れとアルコールが若干残ってはいたが、この期に及んでそんなことは言ってられない。洋服を着て身支度をしているところへ、鶴ヶ島のS氏から携帯が入る。あら?もう着いたの?早いねー。慌ててロビーへ下りると、既に札幌のK氏も待っていてくれた。ところで何故札幌の方が新宿に現れるのか?実は、彼は出張で私と同様に金曜から東京に来ていたのだが、土曜はお仕事で撮影会には参加できなかったのだ。
 S氏の車で千葉へ向かう。所要時間3時間程度とのこと。ところで、S氏は私と同業者だ。私が東京で就職した先のお客さんだった。私が東京を離れる決意をした時に、最後の関東での撮影地に、これから3人で向かう千葉を選んだ。千葉の林道をうろついていたときに、1台のワゴン車が通 りかかった。その時、手拭いで鉢巻をして運転していた方が、何とこのS氏であった。今から20数年前の出来事である。
 何やってるのこんな所で…とは互いの言葉。それまで顔見知りではあったが、まさか同じ趣味同士とは知る由もなかった。以来20数年間、私が東京を離れてからも友情は続いているのだ。今日はその思い出の地に行こうという寸法だ。

 

ん?これは何?(2005.8.27 千葉県某所

 ところで、実際に私とS氏が出会った場所には大きなダムが完成し、既に水没していた。今日のターゲット、ルーミスシジミのポイントは更に奥なのでさして支障はないのだが、やはり思い出の地の変貌ぶりには力が抜ける。しかも、やたらとゴミを捨てに来る輩が多いらしく、道は途中で通 行止めになっていた。歩いても1時間程度で目的の場所に着くだろうと3人で歩き出す。後で沢の中を歩き回ることになるので3人とも長靴スタイルだ。
 歩きながら、普通種をいくつか撮影できるだろうと期待していたのだが、さっぱり何も飛んでない。気温は24〜25度と確かに低い。先日のページに書きそびれたのだが、実は台風11号が来ていて、今回の関東での撮影会が開催可能かどうか危ぶまれていた。その台風をかわして東京にやって来た。台風直後と言うことで、きっと気温も上がるだろうと期待していたのに、昨日の午後からの雨、そして今日の低気温と今回ややツキがない。

 途中ムラサキシジミを撮った。開翅シーンは以前撮影済みの私には裏面が撮れて良かったが、K氏には開翅シーンをじっくりと見て貰いたかった。沢に降りるが、はやり気温が低過ぎて、ルーミスは居なかった。こうなったら樫の木を丹念にチェックするしかない。沢から上がり、樫の木を見て回ると…ほら居た!えっ、どこかって?葉っぱに蝶の足6本シルエットになって見えるでしょ。あれがルーミスなんですよ(汗)

 

ルーミスシジミ(2005.8.28 千葉県某所

 樹上をチラチラと飛んでは止まるルーミスを、S氏が何とか目で見える低い位 置へと長竿で誘導を試みるが、なかなかルーミスには思いが伝わらない。それでも数頭は視認出来る位 置へ止まってはくれたが、それでも距離があり過ぎる。ただ1度だけ、カメラから数十cmの距離に止まってくれたのが居た。しかし、今度は私のカメラが言うことを聞いてくれなかった。理由は解らないが、そんな時に限って合焦してくれなかったのだ。焦らずに、K氏に撮影チャンスを譲るのだったと気付いても後の祭りであった。
 それにしても6mの長竿を、蝶を驚かさないようにゆっくりと振り続けてくれたS氏には感謝したい。撮影をしない彼には、きっと苦痛だったと思う。ネットですくえば、軽く2桁は採れたであろうに、何ともまどろっこしいと感じただろう。撮れた写 真はこの程度なのだが、彼が居なければ、この程度の写真さえ撮れなかったと思う。感謝してまっせー。今度はベストシーズンに北海道に来てよね!

 

ナンバンギセル(2005.8.28 千葉県某所

 帰途、橋の付近で見慣れぬ植物を発見した。“あ、これススキに寄生してるんだよね”とS氏。彼も結構博学というか雑学の持ち主なのだ。葉緑素を持たず、ススキ・サトウキビ等に寄生するハマウツボ科の植物で、万葉集に「道の辺の 尾花がもとの思い草 今さらになど ものか思はむ」と詠われている“思い草”がナンバンギセルの事なのだそうだが、万葉の時代からこの植物がススキに寄生していることを歌人達が知っていた事実におどろかされる。


うみほたる(2005.8.28 ????

 お昼を少し過ぎてしまった。私の帰りの飛行機は5時45分、K氏の飛行機は6時で、あまりのんびりとはしていられない。しかし、S氏は、せっかくだから何か土地のものを食べていって欲しいと、あれこれ思案してくれている様子。“良いよ、良いよ時間もないし、何ならコンビニ弁当を車の中で頬張りながらでも良いから”と私。でもそれではS氏の気が納まらないらしい。“じゃ、蕎麦でも…”と私が言うと、あまりにタイミング良く蕎麦屋があった。
 田舎にポツンと建つ蕎麦屋ではあったが、小さいお店に何組かのお客さん。店内の様子と、おかみさんと思われる人の様子で、“こりゃ、良いトコに入ったかもしんない”と私。メニューに天ぷらがあったので、メゴチとアナゴも注文した。これで、土地の物…と考えてくれたS氏も納得。蕎麦は思った通 り上質だったが、私の感覚では、もう少し太くても良いのにと思えるほど細かった。

 羽田までのルートは、やはりアクアラインを通過するのが時間的に有利だと、東京湾上に続く海上橋を延々と走る。ところがあまりに快調に走ったもので、今度はどうも時間があまりそうな気配。“うみほたるという船に模したパーキングエリアで一休み。K氏にソフトクリームをおごってもらった。
※写真のオブジェは、海底トンネルを掘ったときのブレードを利用したもののようです。ところで、ここって千葉県??

 

イチモンジセセリ(2005.8.28 ??うみほたる上

 関東での蝶の撮影は全て終了したと思っていたのに、まだチャンスは有った。何と東京湾上に浮かぶ“うみほたる”のフラワーポットにコイツがいた。さすが飛翔力の強いイチモンジセセリ!ところがそれだけではなかった。ヤマトシジミがたくさん居たのだ。“どういうこと?”と私。しばし、花壇を見つめていたS氏が“これだ!”と指さした先には、僅かな雑草とともにカタバミがあった。確かに小さなヤマトシジミだから、ホンの少しのカタバミでもあれば生き延びられるのかも知れない。
 羽田でS氏に、今度は北海道で会いましょうと別 れを告げる。K氏と飛行機が出発するまでの間、お喋りをし、互いのタイミングが合えば、来年のアポイ岳をご一緒にと約束をして別 れた。

  誕生割でどこかに行きたい。という発想で始まった今回の撮影行。単なる私の思いつきが、本当に多くの人に動いてもらうことになり、また多くの方々に出費もさせてしまったと恐縮する一方で、この撮影会自体が私の誕生会なら、移動した距離、動員した人数、台風で飛行機が欠航になるのではとご心配いただいた方々、今回の撮影会には参加できなくても、メールその他で祝辞を頂いた方々…こんなにスケールの大きな誕生会も滅多に無いのではないかと思う。
皆様に心から…

感 謝!


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※Field Note読者のkさんが、うみほたるの住所を調べてくれました。
「千葉県木更津市中島地先 海ほたる」だそうです。
千葉寄りかな?とは思ってましたが、やはりそうでした。
わざわざ問い合わせをして結果をお知らせ頂いたkさん、どうもありがとう!