ミズイロオナガシジミ(2003.07.26 恵庭市)

 北海道の蝶は、だいたいお盆頃までが良いところだろうか、つまりお盆までに今年生まれの蝶は殆どが出そろい、以降も飛んではいるのだが、越冬するタテハ類と、後は飛び古してボロボロにすり切れた蝶しかいなくなる。するってーとあと3週間しかない!ずーっと低温注意報が出ている十勝でくすぶっていると、今シーズンが終わってしまう!
 そんなことを考えると、もう居ても立ってもいられない。こうなれば遠征だぁーと、恵庭市を目指して出発!3時半に起床し4時過ぎには車中の人となった。いつもなら、そろそろ寝ておかなけりゃ…と布団に潜り込む時刻なのだが…。ところで何故恵庭かと言うと、私の二つ折りの恋文のコーナーで、まだ埋まってないページ…ウラナミアカシジミに会いたかったのだ。濃い霧に阻まれながらも日勝峠を越え、日高に入った途端に晴れ!やったー!気温もみるみる上昇し期待も高まる。
 ポイントに付いて、まずコイツの多さに驚いた!カシワ、ミズナラ、コナラとゼフィルスの好物ばかりの林の下草の上にいくらでも居る!ん?コイツがこんだけ居るってことは、アレもきっと…

 

ウスイロオナガシジミ(2003.07.26 恵庭市)

 そう思って目をこらして探してみたら…アハ!居ました居ました。オナガシジミ類(オナガ・ミズイロ・ウスイロ)3種のうち、ミズイロとウスイロは混棲しているケースが多いような気がする。しかし、ミズイロ対ウスイロの比率は、数10対1の割合で、ウスイロは滅多に見ることが出来ない種だ。

 

ウラミスジシジミ(2003.07.26 恵庭市)

 北海道内のゼフィルス類の発生比率は、ジョウザンミドリシジミが最も多いように思うのだが、ここの林もご多分に漏れずジョウザンミドリシジミが見られた。盛んに追飛行動を繰り返しバトルを演じているが、ジョウザンミドリとミズイロとのバトルはあまり見られない。しかし、時々毛色の変わった奴がバトルに参戦していた。もしやと思い探してみたら、案の定ウラミスジだった。
 このウラミスジもあまり発生数の多い種類ではないが、この小さな林の中では、数頭目撃することが出来た。見かけたのは全て、後翅裏の銀線が流れるsignata(
シグナータ)型だった。これも私の狭い見識の中で言えば、北海道ではsignata型が圧倒的に多く、銀線が乱れないquercivora(ケルキボラ)型は滅多に居ない気がする。

 

ウラナミアカシジミ(2003.07.26 恵庭市)

 今日恵庭市まで出向いた最大の理由は、この蝶にあった。本州では見かけるチャンスの多いこの蝶も、北海道では極限られた産地しか知られていないのだ。一昨年この生息地を友人に聞いて居たのだが、私も北海道産のウラナミアカシジミと出会うのはこれが初めてだった。
 この蝶の模様なのだが、通常の蝶の模様というのは、ある地色がベースになり、翅脈に沿って黒い線が走り、その線の間で独特の模様が構成される…というパターンが多いように思う。スジグロシロチョウとかオオゴマダラ他のマダラチョウ、ミスジチョウの仲間もだいたいそんな感じなのだが、この蝶は地色をオレンジと考えると、翅脈に沿ってその地色が残り、翅脈以外のところに黒い模様が施されている。その為、私にはとても落ち着かない構図に思えるのだが、皆さんはどう思われるだろう?試しにコンピュータでオレンジと黒を置き換えてみたのだが、「うん、こんな模様の蝶なら世界のどこかに居そうだ」という蝶が出来上がった。

 

オオミドリシジミ(2003.07.26 日高町)

 目的の蝶の撮影が出来たので、午前中に恵庭市を後にした。この前、日高で見たゴイシシジミの発生地が気になっていたのだ。私の友人がその近辺を調べたら、大量 に笹が枯れている場所を見つけたという。アブラムシが大発生していて、そこにがゴイシシジミの発生源になってるのではないかと推測されるのだ。
 確かに教わった場所には、枯れた笹が目立っていた。辺りの笹を丹念に調べると、アブラムシと思われる虫が寄生していて、そこにアリが群がっているのを何カ所も見つけた。しかし、私の目が…小さ過ぎて良く見えないのである。とりあえずオートフォーカスで写 真は撮ったのだが…あまり良い出来ではなかった。その件はまた後日ということにしよう。さて、その笹薮の中にはもう1種類のゼフィルス、オオミドリシジミが居た。今日は多くの種類のゼフィルスに出会えてご機嫌!

 

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