ジャコウアゲハ
Atrophaneura alcinous Klug
(アゲハチョウ科)
- 分 布:北海道、東北北部を除く全土
- 成虫の発生:東北で年2回、関東〜九州で年3回、温暖地で4回の可能性有り
- 食 草:ウマノスズクサ科のウマノスズクサ、オオバ・ホソバ・マルバ・リュウキュウウマノスズクサ
- コメント:一種の香気を持つことからジャコウの名が付いた。ウマノスズクサの毒素を幼虫時代に体内に取り込み“毒蝶”として擬態のモデルになっている。蛾のアゲハモドキはその代表と思われるが、この蛾がジャコウアゲハの分布しない北海道にも生息しているのは理解できない。毒を持っているためか、その飛翔は他のアゲハから比べて緩やかである。
私が初めてこの蝶と出会ったのは、小学校6年生の夏休みの御殿場で、細身の翅形、長い尾状突起、そして雌だったので他の蝶にない黄褐色の翅の色に大きな感動を覚えた。また2001年春の沖縄では、その数の多さに驚いた。この地のジャコウアゲハは前翅の外縁が大きく外側に湾曲している、また雌の翅の色が黒に近い等から別
亜種として扱われているようである。
※毒蝶:一般に毒蝶というと“翅の粉(鱗粉)が毒で触ったり吸い込んだりしてはいけない”又は“幼虫に触れるとかぶれる”等と想像する方が意外と多くて驚かされる。この場合幼虫がウマノスズクサの毒素を摂取することで、主な外敵の鳥がこの蝶または幼虫を餌とすると、お腹を壊すことを経験上知っていて攻撃しない。という程度の毒で、人体に直接悪影響を直接及ぼすことはない。(たぶん食べない限り…まさかネー)